症例1

問診

Dr:今日はどうされましたか。
Pt:体がだるくて、全然食欲がありません。
Dr:そうなったのはいつからですか。
Pt:3日くらい前からだったかな。夏ばてかと思っていたんだけど、どうもいつもと違う感じで。
Dr:食事の量はどれくらい取れるのですか。
Pt:いつもの3割くらいかな、もうすぐ食べたくなくなって、食べても美味しくないし。
Pt:昨日、熱測ったら38℃もあったし、こりゃあいかんと思って病院に来ました。
Dr:他に体調で何か気づいたことはありませんか。
Pt:今朝、おしっこの色が濃い、ウーロン茶みたいな色でした。
Dr:今まで大きな病気をして入院したり、手術を受けたりしたことはありませんか。
Pt:そんなことはありません。体には自信があります。

身体所見

身長:180cm、体重:60kg。 体温:38.5℃、血圧:110/64mmHg、脈拍:60/分・整、呼吸:12/分。 眼瞼結膜:貧血を認めない、球結膜:黄疸を認める。 胸部:心音は清、呼吸音に異常を認めない。 腹部:腹壁は平坦で軟、肝を右鎖骨中線上に1横指触知し、表面は平滑、辺縁はやや鈍、硬度は弾性軟、圧痛を認めない。脾および腎、腹水は触知しない。 四肢:チアノーゼと浮腫を認めない。 神経学的検査:異常を認めない。

検査成績

尿所見:蛋白−、糖−、ビリルビン+、ウロビリノーゲン+。 

血液所見:赤血球403万、Hb 13.5 g/dl、白血球8,400、血小板22万。

血清生化学所見:Na 140 mEq/L、K 4.5 mEq/L、BUN 20 mg/dl、Cr 1.2 mg/dl。 総蛋白7.1g/dl、アルブミン4.1g/dl、総ビリルビン5.0 mg/dl、直接ビリルビン3.5 mg/dl、AST 1,500 IU/L(基準40以下)、ALT 2,400 IU/L(基準45以下)、アミラーゼ80単位(基準180以下)、アルカリフォスファターゼ463単位(基準260以下)、γ−GTP 158単位(基準8〜50)、TTT 7.8単位(基準0.6〜9.4)、ZTT 10.7単位(基準4.0〜14.5)、コリンエステラーゼ600単位(基準400〜800)、プロトロンビン時間 60%。

IgM型HA抗体 陽性、HBs抗原 陰性、HCV抗体 陰性。

問題

    1.会話の中から患者さんの問題点を医学用語でリストアップしましょう。

    2.追加すべき問診事項はどれだろう。

    3.バイタルサインてどれだろう。

    4.結膜の黄疸の見方はどうする。

    5.肝の触診法はどうする。

    6.この触診所見をどう解釈する。

    7.検尿所見をどう解釈する。

    8.高ビリルビン血症の原因はなんだろう。

    9.急性肝炎と慢性肝炎を区別する指標はあるだろうか。

    10.プロトロンビン時間てなんだろう。

    11.肝炎ウイルスマーカーからどういうことがいえるのだろう。

    12.この症例の肝組織生検所見はどうなっているのだろう。

    13.今後の経過について注意しなくてはいけないことはなんだろう。

 

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