症例2

問診

Dr:はじめまして。まず、お年とお仕事を伺います。
Pt:24歳です。今は建築会社で働いています。
Dr:今日はどうされましたか。
Pt:会社の健康診断で肝機能障害があるから、医療機関を受診するように言われました。肝機能障害といわれたのは初めてです。2年前、入社の時の健康診断では、肝機能に問題はありませんでした。
Dr:その他、自分で何か気づいた異常はありませんか。
Pt:自分自身ではどこも体が悪いと思ったことはありません。いたって健康だと思っていたので、検診の結果を見てびっくりしました。

身体所見

身長:180cm、体重:55kg。
体温:36.5℃、血圧:110/64mmHg、脈拍:60/分・整、呼吸:12/分。
眼瞼結膜:貧血を認めない、球結膜:黄疸を認めない。
胸部:心音は清、呼吸音に異常を認めない。
腹部:腹壁は平坦で軟、肝。脾および腎、腹水は触知しない。
四肢:チアノーゼと浮腫を認めない。
神経学的検査:異常を認めない。

検査成績

尿所見:蛋白++、糖−、ビリルビン−、ウロビリノーゲン 正常。

血液所見:赤血球403万、Hb 13.5 g/dl、白血球8,400、血小板22万。

血清生化学所見:Na 140 mEq/L、K 4.5 mEq/L、BUN 20 mg/dl、Cr 1.2 mg/dl。総蛋白5.8g/dl、アルブミン3.5g/dl、総ビリルビン1.2 mg/dl、直接ビリルビン0.8 mg/dl、AST 150 IU/L(基準40以下)、ALT 240 IU/L(基準45以下)、アミラーゼ80単位(基準180以下)、アルカリフォスファターゼ223単位(基準260以下)、γ−GTP 38単位(基準8〜50)、TTT 7.8単位(基準0.6〜9.4)、ZTT 10.7単位(基準4.0〜14.5)、コリンエステラーゼ600単位(基準400〜800)、プロトロンビン時間 95%。

IgM型HA抗体 陰性、HBs抗原 陽性、HCV抗体 陰性。

問題

1.会話の中から患者さんの問題点を医学用語でリストアップしましょう。

2.追加すべき問診事項は?

3.身長と体重から計算しなくてはいけないものは?

4.検尿所見で、「尿蛋白陽性」といわれている蛋白とは具体的にはなんでしょう。それ以外にどんな尿蛋白があるでしょう。尿蛋白陽性で考慮すべき病態はなんでしょう----ちょっと難しい。

5.この症例でのHBe抗原・抗体はどうなっていると考えられますか。

6.この症例の肝組織生検所見を図示してみましょう。

7.この患者さんには彼女がいて、今日はいっしょに来ています。彼女に対して、どう対処したらいいでしょう。

 

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症例2解説