症例3

問診

Dr:はじめまして。お年と仕事を伺います。
Pt: 54歳です。昼は米作りで夜はスナックをやっています。
Dr:今日はどうされましたか。
Pt:去年の暮れあんまり疲れやすいので、近くの病院で診てもらったら、肝臓が悪いのですって。これまで、病気らしい病気ってしたことないから、ずっと健康だと思っていたのだけど・・・。
Dr:その他、自分で何か気づいた異常はありませんか。
Pt:このところ、なんか汗をかきやすいです。冬なのにどうしてこんなに汗が出るのか不思議なのです。そのせいか、2ヵ月で5kgやせました。最近、ちょっとスカートがゆるくなって、普通に食べているのだけど・・・。

身体所見

身長:160cm、体重:48kg。
体温:36.8℃、血圧:110/64mmHg、脈拍:90/分・整、呼吸:12/分。
頚部:び漫性に腫大した甲状腺を触知、弾性硬、圧痛は認めない。
眼瞼結膜:貧血を認めない、球結膜:黄疸を認めない。
胸部:心音は清、呼吸音に異常を認めない。
腹部:腹壁は平坦で軟、肝、脾および腎は触知しない。腹水は認めない
四肢:チアノーゼと浮腫を認めない。
神経学的検査:異常を認めない。

検査成績

尿所見:蛋白−、糖−、ビリルビン−、ウロビリノーゲン 正常。

血液所見:赤血球403万、Hb 13.5 g/dl、白血球8,400、血小板22万。

血清生化学所見:Na 140 mEq/L、K 4.5 mEq/L、BUN 20 mg/dl、Cr 1.2 mg/dl。総蛋白7.8g/dl、アルブミン3.6g/dl、総ビリルビン1.5 mg/dl、直接ビリルビン1.0 mg/dl、AST 150 IU/L(基準40以下)、ALT 240 IU/L(基準45以下)、アミラーゼ80単位(基準180以下)、アルカリフォスファターゼ353単位(基準260以下)、γ−GTP 88単位(基準8〜50)、TTT 15単位(基準0.6〜9.4)、ZTT 18単位(基準4.0〜14.5)、コリンエステラーゼ600単位(基準400〜800)、プロトロンビン時間 100%。

IgM型HA抗体 陰性、HBs抗原 陰性、HCV抗体 陰性。

問題

1.会話の中から患者さんの問題点を医学用語でリストアップしましょう。

2.甲状腺の触診所見から考える疾患はなんでしょう。

3.甲状腺機能亢進症の症状を挙げましょう。

4.この症例で調べる甲状腺機能の血液検査は何でしょう。

5.膠質反応の臨床的意義は何でしょう。

6.この症例の肝障害の診断に必要な血液検査は何でしょう。

7.この症例で考えられる肝障害の診断のポイント(診断基準)はなんでしょう。

8.この症例の肝組織生検所見はどうなっているのでしょう・・・図示しましょう。

9.診断確定後の治療はどうするでしょう。

 

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症例3解説