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【採択】産科婦人科学・笹川寿之准教授(第25回北國がん基金(研究助成))

課題名「子宮頸がんに対する新しい免疫療法の開発とその効果発現機序の解明」

【笹川准教授の研究概要】

子宮頸癌の原因はヒトパピローマウイルス(HPV)であり、ウイルス抗原が免疫のターゲットになるため、免疫療法が有効 である可能性がある。がん免疫療法は、HPV抗原などのがん抗原に反応するキラーTリンパ球(CTL)を活性化してがん細胞を攻撃するものであり、攻撃の ターゲットとなる抗原の曝露と局所の炎症を誘導することによって、樹状細胞(DC)を活性化することが重要である。HPVは抗原を隠して潜伏感染するた め、我々はフェノールによる組織破壊療法を考案した。このフェノール療法は、子宮頸部の前がん病変CINに有効であった。ところが、免疫不全患者や進行が ん患者には無効であった。一方、BCG-CWSがん免疫療法は進行子宮頸癌の約7割に有効であった。BCG-CWSがん免疫療法は、toll-like receptor(TLR)を介してDCを活性化することによって、がん細胞特異的なCTLを全身的に誘導すると考えられている。本研究では、これらのが ん免疫療法の効果発現機序とそれを妨げる免疫学的因子(おそらく免疫寛容の成立)を解明し、より有効な免疫治療の確立をめざす。

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