課題名「イオンチャネル蛋白によるインフルエンザウイルスの増殖制御機構の解明」
C型インフルエンザウイルスはヒトの上気道および下気道感染症を起こす重要な病原体の1つであり、ヒトの世界に広く浸淫している。本研究の対象である糖 蛋白CM2は115個のアミノ酸からなり、C型ウイルス粒子のエンベロープに存在する。2011年、申請者らはCM2が粒子の脱殻uncoatingおよ びゲノムの取り込みpackagingに関与することを報告した。一方で電気生理学的解析から、CM2はH+とCl−に透過性を有するチャネルを形成すると報告されている。本研究の目的は、チャネル活性を失った変異CM2をもつ組換えウイルスを用いて、これらの活性がuncoatingとpackagingに関与するか否かを明らかにすることである。特にCl−チャネル活性がpackagingに関わることが証明されれば、分子ウイルス学の分野に新しい増殖機構を提唱することになる。また、この機能を標的とした新規薬剤の開発に繋がる可能性がある。
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