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【新成果】うつ/アルツハイマー:同じ分子が機能低下(生理I・総合医学研究所)

 うつ病モデルとアルツハイマー病モデルのマウス脳で、同じ分子が機能低下していることを、本学の加藤伸郎教授(生理I・総合医学研究所) と孫鵬ポスドク研究員(生理I・総合医学研究所;中国・同済医学院から出向)らの研究グループが突き止めた。この成果は11月9日付の米国神経科学会誌 「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」に掲載された。

ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス

 本研究グループは、神経細胞でイオンの通り道となっているイオンチャンネルのひとつ(BKチャンネル)がアルツハイマー病モデルマウスにおいて抑えられており、この抑えがうつ病治療に使われる電気けいれん刺激で取り除かれることを本年8月に発表していた今 回、同じ通り道(BKチャンネル)がうつ病モデルマウスでも抑えられていることを見つけた。また、この抑えは、うつ病治療として使われる経頭蓋磁気刺激に よって回復することもわかった。この共通の通り道が両疾病の接点となっていることが考えられる。本学の森本茂人教授(高齢医学)と神田享勉教授(地域医療 学)らは石川県内灘町および富山県氷見市との連携で、うつ病とアルツハイマー病は双方が他方を増悪し合う関係にあることを疫学的に解明していた。また、森 本教授らの長年の臨床経験によると、うつ病とアルツハイマー病はしばしば区別して診断することが難しい。今回の発見は、本学の地域性を活かしたこれらの優 れた臨床研究に鼓舞されて実現したものである。これにより、うつ病とアルツハイマー病を区別することなく一気に治療する可能性が開けたと、考えている。

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