記事のみ印刷する

【論文発表】生理学Ⅰ/須貝准教授・加藤教授「味と香りのコラボ」神経メカニズムの一端を提唱

 ワインの旨さは味と香りの一体感にある。料理をグルメ評価する時、脳は味と香りの織りなす情報に頼る。このような味覚と嗅覚の情報統合の一部は、意外にも、いままで「てんかん」の震源として知られていた脳部位に担われている可能性のあることを、本学生理学Ⅰ/須貝准教授・加藤教授らのチームが報告した。7月4日までに英国専門誌ケミカル・センスに印刷待ち原稿としてアップロードされた。
 
 嗅覚情報は、「匂い物質」→「鼻腔粘膜」→「嗅球」→「大脳辺縁系(梨状葉→内嗅皮質→海馬)」と流れて認知される。内梨状核は大脳皮質梨状葉の深部にある神経細胞集団で、梨状葉と双方向性の入出力があるほか、大脳辺縁系の広い領域へ信号を送る。これまで、内梨状核はてんかんの発生源となり易いことが報告されていたが、病態生理と離れた正常機能については良くわかっていない。今回、内梨状核に嗅覚情報と味覚情報がともに同期して入力すると、相乗効果によって内梨状核の活動性が高まることを明らかにした。
 
 本発見により、少なくとも内梨状核で嗅覚と味覚情報の統合されることが明らかとなった。しかし、両情報の統合部位は他にもあると思われ、それらと内梨状核が協調することで、はじめて複雑な「おいしさ」が評価できると考えられる。

Chemical Senses


新着一覧へ