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【論文発表】糖尿病・内分泌内科学/永井貴子医員による論文「 内因性抗線維化ペプチドN-acetyl-seryl-aspartyl-lysyl-prolineは糖尿病における腎線維化と内皮細胞-間葉系細胞分化を抑制する」がBiomed Research Internationalに掲載されます

 内因性抗線維化ぺプチドN-acetyl-seryl-aspartyl-lysyl-proline (AcSDKP)はアンギオテンシン変換酵素(ACE)の基質である。臓器線維化に重要な線維芽細胞の由来において内皮細胞-間葉系細胞分化(EndMT)の意義に注目が集まっている。
 我々は、AcSDKPに糖尿病腎の線維化に対する治療効果と抗EndMT効果がある事、その分子機構を見いだした。STZ誘導1型糖尿病CD-1マウスにおける腎線維化(STZ投与後6ヶ月)は、ACE阻害薬imidapril単独介入に比しAcSDKP追加投与で有意に改善、EndMT抑制を伴った。糖尿病マウス腎では抗EndMT機能を有するmicroRNA let-7 family発現が低下し、imidapril+AcSDKP投与で正常マウスと同レベルに改善した。miRNA let-7発現を制御するFGFR(線維芽細胞増殖因子受容体)は糖尿病マウス腎で低下、imidapril+AcSDKP投与で正常化した。糖尿病腎では血管内皮細胞にmiRNA let-7の標的遺伝子TGFbR1が強発現するが、imidapril+AcSDKP治療により発現は正常化した。
 これらの結果は、ACE阻害薬を用いた既存の糖尿病性腎症治療に対するAcSDKPの相加的腎保護効果と、その腎保護効果におけるmiRNA let-7 familyの正常化及びその意義を示唆した。
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