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【採択】糖尿病・内分泌内科学/北田宗弘講師 日本老年医学会 ノバルティス老化および老年医学研究基金 2014年度(第28回)

テーマ:血管内皮Sirt1による抗老化制御機構の解明
 わが国は超高齢化社会をむかえ、老化関連疾患(糖尿病、心血管疾患、腎臓病、認知症など)による個人の生活の質(QOL)の低下、また、それに伴う医療費の増大などが今後の重要な問題である。老化関連疾患は、インスリン抵抗性を含む糖・脂質代謝障害を基盤として中枢神経・肝臓・骨格筋・脂肪・膵臓・心血管組織・腎臓などの各臓器/組織障害が単独ではなく互いに連関し引き起こされる。血管組織はこれらの各臓器/組織間に張り巡らされており、各臓器に共有されている(各臓器における内皮細胞の性質は異なるが)ため、血管(特に血管内皮細胞)機能の障害は全身的な各臓器/組織障害と深く関連している可能性がある。また老化に伴う代謝障害と肥満に伴う代謝障害との間には高い相同性があると考えられ、内皮機能障害に基づく血管壁の炎症は動脈硬化のみならず、肝臓・脂肪組織・腎臓における炎症とも関連し、老化関連疾患として、糖尿病・非アルコール性脂肪肝炎・慢性腎臓病の発症に関与する。
 今回の研究では、血管内皮細胞の保護分子としてSirt1に焦点をあて、内皮細胞におけるSirt1が制御する抗老化経路を同定することを目的とする。

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