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【論文発表】 精神神経科学 大井 一高助教らの論文 "The Five-Factor Model Personality Traits in Schizophrenia: A Meta-Analysis"がPsychiatry Research誌に掲載されました

 パーソナリティー傾向は統合失調症の症状、認知機能および社会機能に影響を与えるため病態に関わる重要な因子のひとつである。これまでに、いくつかの先行研究において統合失調症患者は健常者と比較して特徴的なパーソナリティー傾向を示すことが報告されている。NEO Five-Factor Inventory (NEO-FFI)はNeuroticism (N), Extraversion (E), Openness (O), Agreeableness (A), Conscientiousness (C)といった5つのパーソナリティー傾向を評価することができる。本研究では、これまでの統合失調症のNEO研究のシステマティックレビューを行い9個の先行研究から460名の統合失調症患者と486名の健常者のNEOデータを抽出し、これらのパーソナリティー傾向のメタアナリシスを行った。各パーソナリティー傾向に出版バイアスは認められなかったが、各研究間で結果のバラつきを認めたため、メタアナリシスはランダムエフェクトモデルを適用した。メタアナリシスでは、統合失調症患者は健常者と比べて有意にNが高く、E, O, A, Cが低いことを見出した。そのエフェクトサイズは中等度から大きかった。これらの差異は各研究における年齢や性別の違いにより影響を受けていないことが分かった。これらの結果より統合失調症患者は健常者と比較して異なるパーソナリティープロファイルを持つことが示唆された。
Psychiatry Research


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