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【論文発表】糖尿病・内分泌内科学 MEXT Fellowship Program 大学院生 Swayam Prakash Srivastavaさんらの論文「Effect of Antifibrotic MicroRNAs Crosstalk on the Action of N-acetyl- seryl-aspartyl-lysyl-proline in Diabetes-related Kidney Fibrosis」 がScientific Reports誌に掲載されました

 内因性抗線維化ペプチドN-acetyl-seryl-aspartyl-lysyl-proline(AcSDKP)は、アンギオテンシン変換酵素(ACE)の基質です。我々はこれまでに、①AcSDKPによる糖尿病腎線維化抑制効果に糖尿病腎で抑制されている線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)、microRNA(miR)let-7レベル正常化と内皮細胞-間葉系細胞分化(EndMT)抑制が含まれる事、②糖尿病腎におけるmiR29抑制がdipeptidyl peptidase(DPP)-4発現を惹起して糖尿病腎の線維化を誘導する事を報告してきました。また、miR29はinterferon (IFN)-gを標的とし、IFN- gはFGFR1を抑制することも知られています。今回の検討では、AcSDKPの抗線維化作用機序において、miR29とmiR let-7間の両方向的制御が抗線維化/抗EndMTプログラムに重要な役割を果たしていることを見出しました。さらに、miR29阻害によりINF- gが増加し、FGFR1発現とmiR let-7も抑制され、IFN-g中和抗体によりこれらは正常化することを見出し、miR 29抑制によるmiR let-7抑制の分子機構も明らかとしました。今回の結果より、AcSDKPはmiR29とmiR let-7間の抗線維化miRクロストークを介して生理的に重要な役割を担う可能性が確認されました。
Scientific Reports


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