記事のみ印刷する

【プレスリリース】細胞の中で生じるストレスを理解するために光を利用-ホタルの発光機構とストレス応答反応を巧みに組み合わせたマウスの誕生-

 学校法人金沢医科大学(神田享勉学長)は、国立大学法人熊本大学(原田信志学長)および株式会社トランスジェニック(福永健司社長)との共同研究により細胞の中で生じるストレスをマウス生体レベルで研究する際に大きく役立つ方法の開発に成功しました。金沢医科大学総合医学研究所(西尾眞友所長)の岩脇隆夫教授が中心になって行った研究の成果です。
 近年、細胞の中で生じるストレスは糖尿病やがん、神経変性など様々な疾患と関連することが分かってきました。しかしながら、ストレスそのものの実態は多くの場合において目で見ることはできません。そこで本研究グループはストレスと疾患との関係性をより深く知るために、生体イメージング(可視化)技術を利用して、その不可能を可能にすることに取り組んできました。
 実際に研究グループが行ったことはホタルが発光する仕組みと細胞内のストレス応答反応との遺伝子工学を利用した融合です。また、そのとき作製された人工遺伝子をマウスの受精卵に導入して遺伝子組換えマウスも作製しました。このマウスを用いることで、ストレスが生じたカラダの部分をストレスが生じた時にだけ明るく光らせることに成功しました。この上手い仕組みに因み、同グループは作製したマウスを「UMAI(ウマイ)」と名付けています。
 これまでにも本研究グループの岩脇教授は幾つかのストレス可視化(技術)マウスを開発してきましたが、このUMAIマウスが加わったことで、より多面的にストレスと疾患との関係性が調べられるようになると期待されます。そのような研究は、将来、ある疾患の原因究明や治療薬開発のブレークスルーに繋がる可能性があり、広く社会に貢献することが期待されます。
 なお、本研究成果は英国時間2017年4月7日10時(日本時間2017年4月7日18時)に Nature Publishing Groupのオープンアクセス電子ジャーナル『Scientific Reports』 で公開されました。
 
→詳細はこちら(プレスリリース全文(PDF))


新着一覧へ