記事のみ印刷する

【論文発表】本学卒業生 大阪府立急性期・総合医療センター 近江 翼診療主任、精神神経科学 大井 一高講師らの論文"Possible factors influencing the duration of hospital stay in patients with psychiatric disorders attempting suicide by jumping"がBMC Psychiatry誌に掲載されました

我が国の自殺者数は、2010年より減少傾向にあるが、依然として約25000人/年以上認められる。WHOは、自殺既遂者の約90%が何らかの精神疾患に罹患していると報告している。本研究では、飛び降りで自殺を図り2009年1月から2014年12月までに大阪府立急性期・総合医療センターに救急搬送され、同センター精神科病棟に入院した精神疾患を有する113人について、墜落外傷の治療期間に関わる因子について検討した。113人の中で、統合失調症患者が37人と最も多かったため、113人を統合失調症患者群と、その他の精神疾患患者群に分けた。その他の精神疾患患者群と比べ、統合失調症患者群では入院期間が長いことを見出した。次に、両群について、年齢・性別・教育年数・抗精神病薬内服量・精神科治療期間・精神科初診時年齢・墜落時の高さ・受傷部位の総数(頭部、胸部、腹部、脊椎、骨盤、上肢、下肢)の項目で入院期間へ影響を与える因子を検討した。両群間で墜落時の高さに違いがないにもかかわらず、統合失調症患者群では受傷部位の総数(特に下肢)が多かった。また、統合失調症患者群では精神科治療期間が長く、抗精神病薬内服量が多かった。本研究の結果より、統合失調症を有する墜落外傷患者では、その他の精神疾患を有する墜落外傷患者と比べ、受傷部位の総数が多く、そのことが入院期間を長くしている可能性が示唆された。また、長期にわたる精神科治療期間・抗精神病薬の内服が、骨代謝や認知機能に影響を及ぼし、易骨折性や墜落外傷後のリハビリテーションの抑制につながった可能性も考えられた。
BMC Psychiatry


新着一覧へ