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「論文発表」呼吸器外科 浦本教授ら「口腔・頭頸部癌肺転移に対する外科療法:58例の検討」を、Annals of Thoracic and Cardiovascular Surgery誌に発表

 2013年の日本胸部外科学会の統計によると、肺転移手術症例数としては、大腸・直腸癌、腎細胞癌、乳癌に次いで頭頚部癌は4番目に多い。しかし頭頚部癌の手術は一部の施設でのみ行われている、その治療成績はため肺転移の手術も限られている。本研究は2000年から2015年までの15年間に埼玉県立がんセンター(前任地)で手術を行った頭頸部癌肺転移58例(初回)を対象として、予後と予測因子を検討した。原発の発生部位は、下咽頭17、喉頭15、口腔9、中咽頭8、唾液腺4、上咽頭3、鼻腔および副鼻腔2例。病期はI期2、Ⅱ期7、Ⅲ期16、Ⅳ期33例とⅣ期が最多であった。組織型は49例が扁平上皮癌、腺様嚢胞癌6、粘表皮癌1、多形腺腫由来癌2例。肺転移に関する背景: Disease free interval (DFI)の中央値は21.5ヶ月。肺転移の腫瘍数は、1個が43例、2個が10例、3個以上が5例。腫瘍径の平均は22.5mmであった。腫瘍範囲は片側が53、両側が5例。術式は、部分切除が39、区域切除7、肺葉切除11、肺全摘が1例であり、全て完全切除であった。また20例に肺術後、補助化学療法が行われた。追跡期間中央値は38ヶ月。Grade 3以上の術後合併症、また手術関連死亡は無かった。無再発生存22、担癌生存2、癌死27、他病死7例であった。癌死27例の肺転移手術後の再発部位は、局所11、胸部8、その他8例。全症例の1年生存率82.6%, 3年生存率53.6%,5年生存率34.9%, 生存期間中央値は42.2ヶ月であった。DFI24ヶ月未満と、口腔癌で有意に予後不良であった。また多変量解析では有意な予後因子は無かった。
したがって頭頚部癌の肺転移の外科切除に一定の治療成績は望まれることを示した。

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