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【採択】精神神経科学 大井 一高講師/公益財団法人 石本記念デサントスポーツ科学振興財団 学術研究奨励金

 研究課題名「統合失調症とその第1度近親者において身体活動量がメンタルヘルスに及ぼす影響」
 統合失調症患者は一般人口に比べて10-20年平均寿命が短く、これは統合失調症患者では生活習慣病のリスクが高いことに起因すると考えられています。近年、身体活動量の低下が生活習慣病の危険因子として注目されており、健常者に比べて統合失調症患者では特に中等度から高度の身体活動量の低下が示唆されています。低い身体活動量は心血管疾患発症やメタボリックシンドローム (MetS) のリスクや死亡率を上げる因子と考えられています。一般人口と比較して統合失調症患者ではMetSの頻度が高いだけでなく、心血管疾患による死亡率が高いことが報告されています。
 このような背景の中で、統合失調症患者において、身体活動量の低下自体が生活の質 (QoL)、社会機能および認知機能などのメンタルヘルスに及ぼす影響については明らかではありません。また、身体活動量の低下が遺伝または環境要因によるものか、罹患期間、障害重症度あるいは服薬などの二次的な影響によるものかは不明です。統合失調症患者の半分の遺伝的リスクを有する非罹患第1度近親者は、罹患期間、障害重症度および服薬の影響を受けないことから、身体活動量との関連の検討に有用と考えられます。
 本研究では、統合失調症患者だけでなく、その非罹患第1度近親者および健常対照者において身体活動量とQoL、社会機能、認知機能および血清中サイトカインの関連を評価することで、身体活動量が健康増進に及ぼす影響を解明することを目的としています。
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