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【論文発表】糖化制御研究分野 高田尊信助教の論文「Generation of glyceraldehyde-derived advanced glycation end-products in pancreatic cancer cells and the potential of tumor promotion」が、World Journal of Gastroenterology誌に掲載されました。

 ヒトの体内では非酵素的に糖と蛋白質が反応し、様々な終末糖化産物(AGEs)が生成・蓄積しています。我々は果糖やブドウ糖の代謝中間体グリセルアルデヒドに由来するAGEsが、非常に強い細胞障害性をもつことから、毒性終末糖化産物(toxic AGEs, TAGE)と命名しています。本研究では、TAGEが糖尿病や心疾患など多くの生活習慣病の発症・進展に強く関与することに着目し「TAGEが膵管癌を促進させる」という仮説を立てました。
 株化膵管上皮癌培養細胞を用いた実験により「細胞内微量TAGE定量法」の開発に成功しました。TAGE生成・蓄積細胞内では細胞死関連蛋白質HSP90β、HSP70およびHSP27がTAGE化され、アポトーシス以外の細胞死が誘導される可能性が示唆されました。一方、TAGE化ウシ血清アルブミンの添加が、細胞増殖を促進しました。これらの結果は、膵管癌細胞でのTAGEの生成・蓄積が細胞死を誘導し、細胞外へ逸脱したTAGEが、他の膵管癌細胞の受容体RAGEを介して細胞増殖を促進する可能性を示唆します。

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