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Intelligence Decline in Schizophrenia as Represented by the Difference between Current and Premorbid IQ"がFrontiers in Psychiatry誌に掲載されました

 認知機能障害は、幻覚妄想などの陽性症状および感情鈍麻、自閉などの陰性症状と共に統合失調症患者に認められる中核症状の1つです。認知機能障害の評価には時間を要するため、我々は15分で簡便に統合失調症の認知機能障害を評価できる検査を開発しました。Wechsler Adult Intelligence Scale (WAIS)簡略化版により現在の推定知能(IQ)を、Japanese Adult Reading Test (JART)により病前の推定IQを測定します。その差分より現在の認知機能障害を評価することができます。認知機能障害の程度には個人差があり、これまでにも統合失調症患者さんの中に認知機能障害を認めない群の存在が指摘されています。我々の開発した簡便な評価方法を用いても、同様に約30%に認知機能障害を認めない群が存在しました。抗精神病薬は陽性症状や陰性症状の改善を主なターゲットとしていますが、これら症状の改善だけでは患者さんの寛解や回復には繋がりません。認知機能障害の改善が寛解や回復に繋がると考えられていますが、これまでのところ認知機能障害の改善を主なターゲットとした抗精神病薬は存在しないのが現状です。そのためには、まず統合失調症患者さんの認知機能障害を評価することが重要です。認知機能障害のない群に認知機能改善薬の治験や治療を行っても効果のないことは明白です。
 そのため、私は、学会や研究会を通じて統合失調症における認知機能障害の普及活動に努めています。平成30年3月23日日本統合失調症学会、平成30年7月14日本学(病院中央棟3階中会議室3 14:50~18:30)にて統合失調症における認知機能障害のワークショップを企画しています。ご興味のある方はぜひ御参加下さい。

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