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【論文発表】再生医療学 小屋照継助教、下平滋隆教授の論文「Feasibility and Immune Response of WT1 Peptide Vaccination in Combination with OK-432 for Paediatric Solid Tumors」がAnticancer Research誌に掲載されました。

 背景:Wilms' tumor 1 (WT1)は腫瘍関連抗原の標的として臨床の有用性が高い。免疫賦活剤OK-432(A群溶血性連鎖球菌(A群3型)Su株ペニシリン処理凍結乾燥粉末)には強力な免疫調節と治療的な特性があり、樹状細胞ワクチンのアジュバントとして用いられている。小児固形腫瘍患者を対象として、OK-432を添加したWT1ペプチドワクチン療法の安全性を評価した。
 対象と方法:小児固形腫瘍患者に対して、OK-432を添加したWT1ペプチドワクチンを2週毎に7回投与した。
 結果:登録24例のうち18例は完遂し、16例で発熱反応及び接種局所の発赤がみられた。1例にアナフィラキシー徴候が最終投与時に出現したが、処置により速やかに軽快した。WT1特異的免疫誘導は4例(22.2%)で観察され、固形腫瘍の免疫組織学的評価では、WT1とHLAクラスIの発現は原発腫瘍のそれぞれ100%と85%で確認された。
 結論:OK-432を添加WT1ペプチドワクチン療法は、小児においても比較的安全に実施された。今後、その安全性及び有効性を評価する大規模な臨床試験が必要となる。
 
 注)樹状細胞を含まないOK-432をアジュバントとしたWT1ペプチドワクチンの特異的能動免疫の誘導結果から、樹状細胞を用いて最適化されたがんワクチンの作用強度(力価)がより強いことが判った。

Anticancer Res. 2018 Apr;38(4):2227-2234.

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