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【論文発表】臨床病理学 郭 鑫助教の論文「The Association of Peroxiredoxin 4 with the Initiation and Progression of Hepatocellular Carcinoma」がAntioxidants and Redox Signaling誌に掲載されました

 背景:ペルオキシレドキシン(PRDX)4は、新しい抗酸化酵素PRDXファミリーの中で唯一の分泌型酵素として知られている。最近、我々はPRDX4の高発現は肝組織内および循環血液中において、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)から保護・防御的に作用していることを報告し得た。酸化ストレスは、NASHだけでなく、肝細胞癌(HCC)に対して増殖促進と腫瘍悪性化を進展させる。肝細胞癌に対する、抗酸化酵素PRDX4の役割を検討した。
 方法・結果:wild-type (WT), PRDX4ノックアウト(PRDX4-/y)およびヒトPRDX (hPRDX4)トランスジェニック(hPRDX4+/+)マウスを用い、3週令のオスに、発癌剤diethylnitrosamine (DEN)を腹腔内に注射し、25週後に解剖を行い、肝臓を摘出する。WTとhPRDX4+/+マウスより、PRDX4-/yマウスではHCCの発生率が有意に高かった。HCCコホート研究において、PRDX4の低発現群は腫瘍の悪性度が高く、生存率が低い。一方、HCC培養細胞にsmall interference (si) RNAのtransfectionを施行し、PRDX4の発現の減少による細胞の増殖を抑制し、細胞死を誘導した。
 結論:抗酸化酵素PRDX4がHCCの発生および進展に対する予防的・保護的に働いている可能性が示唆され、PRDX4を含む抗酸化酵素は治療応用への可能性が期待される。

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