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【論文発表】腎臓内科学 野村佳苗助教らの「High molecular weight adiponectin inhibits vascular calcification in renal allograft recipients」がPLoS One誌に掲載受理されました。

【背景】アディポネクチン(ADPN)は抗動脈硬化作用を有し,心血管イベントの発生を抑制するとされるが,腎移植患者におけるADPNと動脈硬化との関係について長期的な研究はほとんど行われていない。
【目的と方法】当院で腎移植術を施行された51例を対象に,腹部大動脈石灰化をACAI (aortic calcification area index)で評価するとともに血管石灰化に影響を及ぼす因子を検討した。さらに,移植腎生検組織におけるADPN,ADPN受容体(AdipoR),T-カドヘリンの発現について免疫蛍光抗体法により検討した。
【結果】1)高分子量ADPN濃度および比率が低値となるほど石灰化が進行した。2) 重回帰分析では,ACAI変化量に対して,高分子量ADPNの上昇は改善因子であり,移植時年齢および心血管合併症の既往は増悪因子であった。3)移植腎生検組織において,ADPNは筋性小動脈内皮細胞を中心に検出され,T-カドヘリンおよびAdipoR1と共局在したが,AdipoR2とは部分的にのみ共局在した。
【結語】腎移植患者において,高分子量ADPNはT-カドヘリンおよびAdipoRを介した血管内皮細胞への結合により、血管石灰化の進行を抑制する可能性が示唆された。

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