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論文発表:解剖学I・坂田ひろみ准教授の論文「A rapid and nondestructive protocol for whole-mount bone staining of small fish and Xenopus」がScientific Reports誌に掲載されました。

 全身が透明になった美しい魚や動物の標本を目にする機会が増えてきました。このような標本を作るためのプロトコルは1800年代末に報告されてから、大きな進歩がないまま今日に至っています。我々は、多大な労力と時間と費用がかかるこれまでの方法とは根本的に異なる全く新しいプロトコル「RAP system」を開発しました。RAP systemでは、鱗や皮膚、内臓などを取り除くことなく、全身を透明化できるため、従来法では避けることができなかった組織破壊(アーチファクト)を伴わない、画期的なプロトコルです。
 ヒトの口に入りうるあらゆる薬剤(医薬品、農薬、ほか)に対して、生殖発生毒性(催奇形性)の有無を確認するための検査として、実験動物胎児の透明骨格標本検査が義務付けられています。RAP systemは簡便かつ迅速で、アーチファクトも無いことから、世界中の検査機関で従来法にとって代わる可能性を秘めています。また、標本の透明度が極めて高く、免疫染色や蛍光核染色の併用も可能であることから、深部イメージングでの利用も期待されます。
 RAP systemの基幹技術は、第二著者である内芝舞実さんが本学医学部在学中に、解剖学I・八田教授との共同研究で確立したものです。そして、坂田ひろみ准教授が中心となり、実用化に至る諸条件を詳細に検討し、システム全体のプロトコルを完成させました。基幹技術は、内芝さんも共同発明者の一人として在学中に特許出願し、権利化に至っております(PCT/JP2013/079388 号)。
 またRAP systemの透明骨格標本作製キットが富士フィルム和光純薬から販売され、全国の博物館や水族館、大学の公開講座などで活用されています。

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