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【論文発表】臨床病理学 大学院生 張 晶さんの「Protective Effects of Peroxiredoxin 4 (PRDX4) on Cholestatic Liver Injury」がInternational Journal of Molecular Sciences誌に掲載されました

 背景:酸化ストレスは、胆管閉塞肝障害を含む炎症性線維性肝疾患において、重要な因子として知られている。ペルオキシレドキシン(PRDX)4は、新しい抗酸化酵素PRDXファミリーの中で唯一の分泌型酵素として知られ、血管内を含む細胞外領域において酸化ストレスからの組織傷害を防御する役割を持っている。最近、我々はPRDX4の高発現は肝組織内および循環血液中において、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および肝細胞癌から保護・防御的に作用していることを報告し得た。今回、胆管閉塞肝障害に対する、抗酸化酵素PRDX4の役割を検討した。
 方法・結果:Wild-type (WT)およびヒトPRDX4(hPRDX4)トランスジェニック(hPRDX4+/+)マウスを用い、8週令のオスに、総胆管の結紮による胆管閉塞肝障害モデルを施行した。1週間後に解剖を行い、肝臓を摘出する。WTマウスに比較して、hPRDX4+/+マウスでは肝臓内の壊死面積(bile infarct)が有意に減少した。さらに、hPRDX4+/+マウスでは、炎症細胞浸潤と線維化の減少および肝細胞と胆管増生の抑制も見られた。最終的にhPRDX4+/+マウスは、総胆管の結紮手術後の死亡率が低いことも分かった。背景を検索するに、hPRDX4+/+マウスでは、胆汁酸の組成に有益な変化が見られ、PRDX4の高発現は胆汁酸代謝に影響する可能性があることも示唆された。
 結論:抗酸化酵素PRDX4が胆管閉塞肝障害に対する保護的に働いている可能性が示唆され、PRDX4を含む抗酸化酵素は治療応用への可能性が期待される。

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