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【採択】神経内科学 森 健太郎 助教/公益財団法人 金原一郎医学医療振興財団 平成30年度(第33回)基礎医学医療研究助成

 研究課題名「腸上皮化生発症の分子基盤の解明」
 高等動物では細胞分化は原則的に不可逆であるが、ストレスや慢性的な炎症反応が引き金となり、分化・成熟した細胞が他の組織の細胞へと変化する化生という現象が知られている。消化管上皮は化生が高頻度に観察される組織であり、胃上皮が腸上皮に置き換わる腸上皮化生や、食道上皮が円柱上皮に置き換わるバレット食道など、化生はがん化のリスクが高い病変と捉えられている。
 研究代表者は転写調節因子Id2の遺伝子欠損マウスの小腸に異所性胃上皮を発症母地とする腫瘍が形成されることを見出した。また、大腸がんの原因遺伝子であるApcの変異マウスとId2の複合変異マウスではApc変異により形成される腫瘍数は激減するがId2欠損により発症する腫瘍には影響を認めず、化生の形成と腫瘍化にはId2の抑制と活性化が重要であると考えられた。
 本研究では、これまで得た知見をヒト病態の理解へと発展させることを目的とし、腸上皮化生の発症におけるId2の関与について検討する。


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