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【論文発表】臨床病理学 黒瀬 望学内講師の「A case report of infantile cystic nephroblastoma」がDiagnostic Pathology誌に掲載されました

腎芽腫は通常、充実性腫瘤を形成するが、極めて稀に、嚢胞性変化を示す。6ヵ月女児。高熱が持続し膿尿と細菌尿が認められた。超音波にて右腎に多嚢胞性病変が認められた。右腎切除術を施行したが、手術中に嚢胞壁が破裂した。腹腔内容液の術中迅速細胞診にて、腎芽・間葉・上皮細胞の3成分が確認され、腎芽腫が疑われた。腫瘍は最大径80mm大で、嚢胞壁は著しく薄かったが、充実部もみられた。組織学的に腫瘍は、嚢胞性腎芽腫(腎芽細胞優位)と診断された。クロマチンの濃縮した変性核、アポトーシス体がみらた。臨床病期は第Ⅲ期で、術後、患児は化学・放射線療法を受けたが、8ヶ月現在、再発・転移は確認されていない。本例は、乳児に発生した嚢胞性腎芽腫の極めて稀な1例である。我々は、腹腔内容液中に出現した腎芽腫細胞を細胞診にて診断した。細胞診は、腎芽腫の臨床病期を決定する上で、非常に有用であった。更に我々は、腫瘍の著明な変性・壊死が嚢胞形成の病因と考えた。

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