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【論文発表】精神神経科学、総合医学研究所 大井一高講師らの論文"Smoking rates and number of cigarettes smoked per day in schizophrenia: A large cohort meta-analysis in a Japanese population"がInternational Journal of Neuropsychopharmacology誌に掲載されました

 統合失調症患者は一般集団と比較して喫煙率および喫煙本数が高いことが世界的に一貫して知られています。しかし、日本人統合失調症患者における喫煙率および喫煙本数は、報告間にバラつきを認め、さらに近年、一般集団における喫煙率は徐々に減少してきています。本研究では、金沢医科大学病院にてリクルートした301例の統合失調症患者と131例の健常対象者を含め、本邦における約25年間にわたる12個の研究結果を用いた日本人統合失調症患者の喫煙率のメタ解析を行いました。(i) 1,845例の統合失調症患者と196,845例の一般集団、(ii) 842例の統合失調症患者と766例の精神的に健康な対象者の2種類のメタ解析を行いました。
 (i) 統合失調症患者は一般集団と比べて男性ではオッズ比1.53倍喫煙率が高いこと (男性統合失調症患者52.9%、一般集団男性40.1%)、女性ではオッズ比2.40倍喫煙率が高いこと (女性統合失調症患者24.4%、一般集団女性11.8%)が分かりました。(ii) 男性統合失調症患者は男性健常者と比べて喫煙率が高かったが (オッズ比2.84、男性統合失調症患者53.6%、男性健常者32.9%)、女性は患者健常者間に喫煙率の差異を認めませんでした (オッズ比1.36、女性統合失調症患者17.0%、女性健常者14.1%)。男女の結果を層別化して統合すると、統合失調症患者は一般集団と健常者どちらと比較しても高い喫煙率を示しました (一般集団 オッズ比1.88、健常者 オッズ比2.05)。患者のリクルート年や外来/入院状況はこれらの結果に影響を及ぼしていませんでした。喫煙本数は、統合失調症患者が22.0本/dayであるのに対して、一般集団は18.8本でした。
 海外の統合失調症患者の喫煙率に比べると低いものの、本研究結果より日本人統合失調症患者においても一般集団や健常者と比べ約2倍喫煙率が高いことを示しました。

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