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【論文発表】臨床病理学 中田 聡子学内講師の論文「The clinicopathological analysis of receptor tyrosine kinases in meningiomas-The expression of VEGFR-2 in meningioma was associated with a higher WHO grade and shorter progression-free survival」がBrain Tumor Pathology誌に掲載されました

髄膜腫におけるチロシンキナーゼ受容体発現と再発/再増大との臨床病理学的解析
‐VEGFR-2高発現は高WHOグレードおよび再発再増大期間の短縮と相関する

 髄膜腫は最多の脳腫瘍で多くは良性(WHOグレード(WG)Ⅰ)だが、20-35%を占めるWGⅡと3%を占めるWGⅢ髄膜腫は再発を繰り返し、時に転移することもある。WGⅡ/Ⅲ髄膜腫の治療は手術および放射線治療だが、未だ有効な全身療法は確立されていない。チロシンキナーゼ受容体(RTKs)は血管系の発生および腫瘍における血管新生や細胞増殖に関与しているが、これまで髄膜腫ではRTKsについて多数例での免疫組織化学的および臨床病理学的解析の報告はない。
 本研究では髄膜腫手術例におけるRTKs(VEGFR-1/2/3、PDGFR-α/β、c-Kit)の免疫組織化学的発現と再発再増大についての臨床病理学的相関を解析した。VEGFR-2発現例では再発再増大期間の短縮がみられ、高WHOグレードとの相関も認められた。
 悪性および再発髄膜腫においてVEGFR-2は重要な役割を果たしていることが明らかになった。VEGFR-2が再発髄膜腫に対する分子標的候補となる可能性が示唆された。

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