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【採択】精神神経科学、総合医学研究所 大井一高講師/一般社団法人横山臨床薬理研究助成基金 平成30年度研究助成

 研究課題名「民族間差を超えた統合失調症と認知機能における遺伝的共通性の解明」
 
 統合失調症は家族集積性を認め、遺伝率80%の多因子遺伝を示す臨床的・遺伝的に異種性を示す複雑で「ありふれた」精神障害です。その異種性を軽減するために、疾患の中核症状である認知機能障害が注目されています。統合失調症の認知機能障害には、非罹患近親者にも認められ家族集積性や遺伝率30-80%を示すことから、統合失調症と同様に遺伝要因が関わり、双方に共通する遺伝基盤が示唆されています。これまでに、世界中のサンプルを用いた統合失調症や認知機能の大規模全ゲノム関連解析(GWAS)では、100個以上のゲノム領域が同定され、認知機能と統合失調症の遺伝的共通性を示唆しています。
 しかし、これらのGWASは欧米人を主な対象としているため、アジア人も同様に遺伝的共通性を示すかは不明です。本研究では、認知機能とゲノム科学を融合した認知ゲノミクスを用いて、健常者、非罹患近親者、統合失調症患者において、多数の認知機能を全ゲノムに渡り網羅的に解析し、認知機能と関連する遺伝子多型(SNP)を同定するトランスレーショナルリサーチを行います。また、多数のSNPを用いて民族間差を超えた認知機能障害と統合失調症間の遺伝的共通性の解明を試みます。
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