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糖尿病内分泌内科学 大学院生 高 荣芬「N-Acetyl-seryl-aspartyl-lysyl-prolineによる内皮細胞-間葉細胞転換抑制効果にはklothoが必須である」をFEBS Open Bio誌に発表

 我々は長年、N-Acetyl-seryl-aspartyl-lysyl-proline(AcSDKP)の抗線維化効果やその分子機構の解明を行なってきました。その中で、AcSDKPによる内皮細胞-間葉細胞転換(EndMT)抑制効果には内皮細胞における線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)が必須であることを最近報告しました。FGFR1は内皮細胞においてco-receptorであるbklotho(KLB)と相互作用しFGF19やFGF21といった内分泌型FGFの受容体となることも知られています。そこで今回、AcSDKPの作用においてKLBが演じる役割を解析しました。AcSDKPは培養内皮細胞においてFGFR1依存性にKLBの発現量を増加させ、結果としてFGFR1-KLB複合体が増加しました。KLB不全内皮細胞はFGFR1発現量に影響を与えませんが、MAPK依存的でAcSDKP抵抗性のEndMTを呈しました。さらに、AcSDKPによる内皮細胞FGFR1-KLB複合体増加に伴い、FGF19やFGF21による内皮細胞恒常性維持機構-抗EndMT効果は増強しました。これらの結果は、内因性抗線維化ペプチドAcSDKPは内皮細胞FGFR1-KLB複合体の発現を調節し、内分泌型FGFであるFGF19やFGF21による内皮保護効果を調節している可能性を示唆していました。

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