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【受賞】臨床病理学 黒瀬 望 准教授が第65回日本病理学会秋期特別総会において、日本病理学会症例研究賞を受賞いたしました。

 2019年11月7日~8日につくば国際会議場にて開催された第65回日本病理学会秋期特別総会において、日本病理学会症例研究賞を受賞いたしました。
「特発性多中心性Castleman病とTAFRO症候群の病理像 -節性病変と節外性病変-」というテーマで発表しました。
『抄録』
 多中心性Castleman病(MCD)は血清IL-6の増加等によって引き起こされると考えられる、全身性炎症性疾患である。特発性MCD(iMCD)は、組織学的に形質細胞型(PC)、混合型(mixed)、富血管型(hyper-V)の3型に分類される。近年、iMCDの病理組織像と類似する予後不良な臨床疾患群(TAFRO症候群;thrombocytopenia, anasarca, fever, renal failure or reticulin fibrosis, organomegaly)が日本から報告されたが、その臨床病理学的な詳細は明らかにされていない。我々は、TAFROを伴った(+)/伴わない(-)iMCDのリンパ節病変70症例を臨床病理学的に解析し2)、その節外病変(腎臓、骨髄、肺、皮膚、胸腺)についても検討した1)。TAFRO(-)iMCDと比較して、TAFRO(+)iMCDはリンパ濾胞(LF)がより萎縮し、リンパ濾胞間距離の開大、胚中心内の糸球体様血管の増生、濾胞樹状細胞の増加がみられた。加えてhyper-Vは、LFの萎縮と濾胞間血管が特に高度であった。mixedにおいては、TAFRO(+)iMCDは、(-)iMCD に比べ、血清IL-6値が有意に高かった。更に、TAFRO(-)iMCD と比べて、TAFRO(+)iMCDは、IgG4陽性、CD38陽性形質細胞数が有意に低下していた。

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