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【論文発表】総合内科学、臨床病理学 大学院生 孟 祥錦 さんの論文「Acupuncture on ST36, CV4 and KI1 Suppresses the Progression of Methionine- and Choline-Deficient Diet-Induced Nonalcoholic Fatty Liver Disease in Mice」がMetabolites誌に掲載されました

Acupuncture on ST36, CV4 and KI1 Suppresses the Progression of Methionine- and Choline-Deficient Diet-Induced Nonalcoholic Fatty Liver Disease in Mice
 
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、世界で最も一般的な慢性肝疾患の1つであり、その治療は常に課題となっている。数多くの臨床試験により、鍼治療はNAFLD患者に有益な効果のあることが示されていたが、その作用の根底にある分子メカニズムはまだほとんどわかっていない。本研究では、メチオニンおよびコリン欠乏(MCD)食を投与することによりマウスNAFLDモデルを確立し、3つの「つぼ」(ST36、CV4およびKI1)または「偽つぼ」を通じ、NAFLDの進行に対する鍼治療の抑制効果とそのメカニズムを調べた。針処理2週間後、「偽つぼ」群(NG)マウスの肝臓は薄黄色に見えたが、「つぼ群」(AG)マウスの肝臓は元来の赤色に見えた。組織学的には、AG群マウスの肝臓では、NG群マウスの肝臓より有意に少ない脂肪沈着と炎症巣が見られた。さらに、炎症誘発シグナル伝達因子の発現は、AG群マウスの肝臓で有意に抑制された。脂質分析により、トリグリセリドおよび遊離脂肪酸の含量は、NG群マウスの肝臓よりAG群マウスの肝臓で有意に少なく、脂質代謝に関連する因子の発現も変化した。そして、酸化ストレスマーカーである、8-ヒドロキシ-2'-デオキシグアノシン(8-OHdG)陽性肝細胞の数、および肝チオバルビツール酸反応性物質(TBARS)のレベルは、NGマウスよりAGマウスで有意に低かった。これらの結果と平行するように、NG群マウスの肝臓よりAG群マウスの肝臓で抗酸化因子の発現は有意に高かった。本研究で鍼治療は炎症、さらに酸化ストレスを軽減し、肝における脂質代謝を促進することで、最終的にNAFLDの進行を抑制したことを示唆しており、鍼治療がNAFLDの重要な代替治療となり得る可能性を示唆している。

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