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【論文発表】腎臓内科学 岡田圭一郎助教らの「Changes in double-strand DNA breaks predict delayed graft function (DGF) in Japanese renal allograft recipients」がClinical and Experimental Nephrology誌に掲載受理されました。

【背景】移植早期の腎機能障害は一定の割合で存在し、現在においても腎移植における主要な問題である。特に、 移植腎機能発現遅延(DGF;Delayed Graft Function)は、移植腎の予後不良因子であるが、DGFを診断する方法は確立されていない。
【目的と方法】当院で施行した腎移植レシピエントを対象とした移植腎における腎尿細管の二重鎖DNA(dsDNA)と、移植腎機能発現との関連について検討した。移植0時間および1時間後の生検組織の尿細管について、DAPI(4', 6-Diamidino-2-Phenylindole)で細胞核を同定し、抗γH2AX抗体を用いた免疫蛍光抗体法陽性率とDGFおよび無機能腎(PNF;Primary Non Function)との関連を検討した。
【結果】1)生体腎移植では、0時間に比して1時間後で尿細管上皮細胞のDNA損傷が改善していた。2)DGFおよびPNF群では、0時間に比して1時間後で尿細管上皮細胞のDNA損傷が進行していた。 3)severe DGFおよびPNF群はその他の群と比較した0時間から1時間後のγ-H2AXの変化率に有意差を認めた。4)γ-H2AXの変化率を用いたROCによる検討では, AUC 0.922で予測能は良好であった。
【結論】生体腎移植に比して献腎移植とくにDGFおよびPNFでは、移植後のdsDNA障害に示される尿細管障害が進行し、その機能発現がより遷延している可能性が示された。

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