bulletin2020_1
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16SCHOOL OF MEDICINE■クリニカル・シミュレーション・センター■AV(Audio Visual)メディアの効果的利用■医学教育のための情報処理学習■電子カルテシステムの活用CSCでの実習(縫合)電子カルテ室 クリニカル・シミュレーション・センター(CSC)は医学教育棟5階に設置されている。3つのシミュレーション・ラボを備え、シミュレータ等の機器を格段に充実させている。また、臨床経験豊富な専任管理者(看護師)を配置し、学生、教職員、医療従事者の医療技能の習熟・向上のための支援施設として整備されている。 医療技術の多くは、スポーツや自動車の運転と同じく、精神運動領域に属する要素を持つものが多い。しかし、それらの学習・練習・習熟を患者に負担をかけて行うことは避けねばならない。CSCは、医学生・看護学生をはじめ、研修医や、経験の浅い看護師や医療職などが、安全に技術を修得・習熟するために欠くことのできない施設となっている。センターでは、個別学習、多種職連携実習など、医療スキルを向上させるため、最新のシミュレータと医療機器を整備し、各種のトレーニングコースを企画・準備している。(38頁参照) 大学における教育では、既製の教材のみではなく、教員自身が作成した「生」の教材を用いることが多い。生の教材は学生へのインパクトが強く、学生の開拓精神を育む大きな動機にもなる。 教員による教材の作成や学会発表の資料作成には、学内に整備されたフォトセンターが幅広く技術的なサポートをしている。また、基礎医学・臨床医学の実習、臨床講義における症例提示、手術供覧などに、TVモニター、ビデオ供覧、コンピュータによる提示システムなどの最新の機器と技術が整備され利用されている。 本学病院はもちろん、多くの病院では、カルテはすべて電子カルテとなり、オーダリングもコンピュータを通じて行われている。現代の診療活動、研究活動や学習活動における情報の扱いはコンピュータなしで済ますことはできない。また、各科目の授業計画や資料などは「電子シラバス」によりネット上で学生に配布されており、学生はこれにより予習・復習を行う。 このような時代の要請に対応するために、第1学年に「情報の科学」を導入しており、学生がコンピュータの基礎概念を理解し、情報入力、情報収集、情報処理および表現の手段としてコンピュータを自由に活用できる素地を養う。また、高学年では医学教育センターにおいて学生用電子カルテの習熟訓練が随時行われている。 本学病院では、世界に先駆けて大病院型電子カルテシステムを開発し全面採用している。従って、診療参加型臨床実習(CCS)の学生には学生用に開発した電子カルテの使用が許可されている。 学生は、各病棟の臨床実習室において、実際の各種検査データや画像を読み、症例の問題点を明らかにし、主治医とともに患者への面接、処置や検査に立ち会うなどして、解決策をコンピュータ上で考察・論議し、診断・治療のプランニングの実際を学んでいく。 カルテの記載は原則として問題志向型方式(POS: Problem Oriented System)を採用している。

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