medicine2020
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金沢医科大学氷見市民病院地域の中核病院として包括的な医療を提供 金沢医科大学は富山県氷見市の要請を受け、2008年から氷見市民病院の管理運営をしています。少子高齢化とともに高齢者への医療や介護のニーズが増す中、金沢医科大学氷見市民病院では、地域の中核病院として行政や病院、診療所、介護施設等と連携し、包括的かつ継続的な医療を提供しています。2011年には26の診療科を擁する新病院が完成しました。患者さんの社会復帰を支援する回復期リハビリテーション病棟や予防医療を推進する健康管理センターを新設し、救急外来、手術室、集中治療室(ICU)、血液浄化センターを拡充。最新のCT・MRI装置と血管撮影装置を導入しています。学生が本院で参加する臨床実習では高齢者を対象とするへき地診療が充実しており、慢性期疾患や複合疾患を抱える高齢者を総合的に診るプライマリ・ケアの基礎的技能を身につけます。また、地域と多職種が連携する包括的な地域医療に参加することでその意義を理解し、医師としての使命感を育みます。能登北部地域医療研究所地域医療の臨床、研究、教育の場として情報発信 公立穴水総合病院に開設した能登北部地域医療研究所では医療機関と連携し、地域に求められる医療を提供しています。また、能登北部の医療の現状を調査し、国内外の地域と比較することでグローバルな視点で地域医療の情報を発信しています。そして、地域の医療・介護の需要と供給の現状や医療過疎地での救急医療・災害医療、地域の健康増進や予防医学について疫学研究をしています。高齢化が進む能登北部では患者さんを総合的に診る総合医が求められており、当研究所では従来の各専門科に分化した育成制度から地域と連携した総合的な研修に移行し、地域で活躍する総合医を育成しています。また、臨床研修医を対象としたプログラムは総合医の資質を持つ人材の育成に重点を置いた総合診療専門研修プログラムとして機能しています。ほかにも多職種連携チームによる在宅医療研修会を開催するなど地域の医療ニーズに対応するための先駆けとなる取り組みを行っています。Diploma Policyを満たすためのカリキュラム地域医療は体系だった学問としてすでに確立しているわけではありませんが、知識や考え方、スキル、臨床倫理的な判断、適切な医療体制、保健・福祉との連携など、蓄積した知恵とマインドが存在します。医療の原点は、地域医療です。地域に必要な医療を考え、地域の自主性によって健康を守る取り組みにこそ、医療再生の鍵があるように思います。地域医療の経験は、医療の課題を考えるきっかけになるでしょう。所長中橋 毅所長・総合内科学教授■地域医療のプロフェッショナル医療の原点は「地域医療」地域医療実習地域と密接に連携した実習プログラム関連医療機関で実際の地域医療を経験金沢医科大学氷見市民病院金沢医科大学能登北部地域医療研究所Kanazawa Medical University School of Medicine13

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