medicine2020
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34 平成28年2月に北陸初の再生医療臨床拠点となる再生医療センターを開設しました。再生医療は、失われた細胞を再び生み出して補充する能力を持った「幹細胞」の性質を利用し、細胞を治療薬として病気や怪我を治す新しい医療分野です。本センターではすでに臨床応用が始まっている組織幹細胞を用い、臨床に直結した再生医療を目指します。 地上2階建ての本センターは病院1号棟に隣接し、細胞の分離・培養を行う細胞調製室は耐圧ガラス張りとなっています。開放的な設計により繊細な作業を行う細胞培養士の精神的な負担を減らし、ガラス越しに学生が細胞調製の過程を見学しやすくすることで最先端の再生医療への関心を引き出します。また、再生医療学分野での高度人材育成も視野に入れ、次世代の医療人を育成する教育機関としても発展を目指します。臨床に直結した再生医療を進め、治療の選択肢を広げる 遺伝子配列や染色体構造の解析技術は長足の進歩を遂げ、次世代シークエンサーの登場により、一度に解析できる情報量は一挙に100万倍にも増えました。臨床現場においても、個々の遺伝子を解析する時代から、ゲノムを網羅的に解析する時代への転換期にあり、遺伝性疾患やがんの診断にこの技術が使われ始めています。本学では平成30年度より、従来の遺伝子医療センターをゲノム医療センターとして拡充し、病院中央棟2階に外来部門、医学教育棟4階に次世代型ゲノム解析室を設置しました。本センターでは金沢医科大学病院を受診される多種多様な遺伝性疾患、希少難病の方や、標準治療では良くならないがんの患者さんに対し、高水準のゲノム医療「遺伝学的診察、遺伝カウンセリング、遺伝学的検査[ゲノム解析]」を提供しています。最先端の技術が研究ではなく臨床として患者さんに還元されるシステムは全国的にも稀です。最先端のゲノム解析技術を臨床へ 皮下脂肪組織から抽出した幹細胞を用い、障害臓器の再生の研究を行っています。その1つが、変形性膝関節症の治療です。2019年6月から5例の患者さんを対象に安全試験を兼ねて治療を開始しています。また、肝細胞をシート化し、再生医療の研脂肪組織由来幹細胞を用いた再生医療究をラットで行ってきたところ、肝硬変にまで進展しても肝臓が再生することを確認できたため、肝硬変患者さんに対しても治療を進めていく予定です。再生医療センター 先進の研究北陸の再生医療の拠点として幹細胞治療を進めています。ゲノム医療センター 高水準のゲノム医療を臨床で実用します。CLOSE UP

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