medicine2020
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Kanazawa Medical University School of Medicine35 進化し続ける医療分野での高度な教育には、リサーチマインドが土台として不可欠です。本研究所では臨床に直結する先端的な研究を中心に、各講座への研究支援、共同利用施設・研究機器の運営管理などを行っています。学生・大学院生の教育にも積極的に関わり、研究セミナーや共同研究を通して複雑な生命現象を解明するリサーチマインドを持った医師・看護師の育成を目指しています。研究現場では蓄積した技術や経験を生かし、問題解決に向けた助言をしています。 現在、研究所は生命科学研究領域(細胞機能、細胞医学、ゲノム損傷応答、遺伝子機能、蛋白質制御)、先端医療研究領域(アンチエイジング、糖化制御、ゲノム疾患、腫瘍制御、ヒト幹細胞制御)、プロジェクト研究センター(戦略的研究、特別研究、寄附研究)、共同利用センター(動物管理室、放射線安全管理室、機器管理室、病理組織室、オープンラボ)を4本柱として活動しています。学外に向けては、市民公開セミナーを毎年実施し、最新の研究法や研究に関する情報発信を行っています。さらには研究から生まれた知的財産等を活用して企業等と連携するなど社会・地域へ還元、産学連携にも取り組んでいます。複雑な生命現象を解明できるリサーチマインドを育成 私たちの体を作り上げている細胞や両親から受け継いだ遺伝子の働きを理解しようとする生命科学研究は健康の維持や疾患の治療に大きく役立っています。その研究において「見る」ことはとても大切であり、現在ではさまざまな生命現象を詳しく観察できるようになることが求められています。例えば、ある特定の細胞や遺伝子の挙動をリアルタイムに生体内で捉えられれば、生命現象の謎を解き明かす上で大変有意義なデータが得られるはずです。細胞や遺伝子の挙動のように通常肉眼では見えない生命現象をできるだけ生体に傷をつけることなく見えるようにする技術は「生体イメージング」とよばれています。この新しい技術を用いることで紫外線が及ぼす遺伝子レベルの影響を生体マウスで可視化することに成功していますし、また、老化に関わる遺伝子異常が細胞核の構造に与える影響も解析できるようになります。その生体イメージング技術に焦点をあてた研究会やセミナーを2018年には本研究所の教職員が中心となって東京と本学で開催しました。そこには最前線で研究に取り組む科学者たちが集い、新たな生体イメージング技術がもたらす成果について紹介されました。生体イメージング総合医学研究所基礎・臨床に関連した多様な研究課題に取り組んでいます。正常遺伝子を持つ細胞核異常遺伝子を持つ細胞核強い紫外線照射(8時間)紫外線照射による影響度弱い紫外線照射(6時間)照射前◆紫外線照射によるストレスの生体イメージング◆老化関連遺伝子変異による細胞核異常の生体イメージング照射後500100200300400CLOSE UP

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