本学の教育の基本目標は建学の精神に述べている「人間性豊かな良医の育成」にある。「良医」とは、「常に患者の立場に立って考え、個々の患者に最も適した医療を提供できる、そして、それを可能とする知識と技術に精通した医師」である。
本学の6年間の卒前一貫教育、それに続く卒後初期臨床研修、専門医研修、そして大学院においては、まず医師としての人間形成を基本においたうえで、知的好奇心を育み、問題に立脚した解決能力を磨き、急速に進歩する医学に対応して生涯にわたって自己研修を行って未来を開拓していくことができる能力を獲得することを常に基本目標におき、良医育成のためのカリキュラムを展開している。
医学の進歩にともなって知識と技術の量は増加し、社会の求めるニーズが多様化している。一方、医育機関の出身者の活躍分野も、医療、研究開発、教育から、福祉・介護、国際医療協力、製薬など様々な領域への広がりを見せている。
医学部卒前教育では、このような状況とニーズに対応できる教育が求められており、本学では医学教育のためのコア・カリキュラムを基盤とした独自の統合型カリキュラムを編成し、社会が求める医師の養成にあたっている。

医師には、専門の知識と技術とともに、総合的な思考力と良識にもとづく適正な判断力をもった人格と素養が求められる。
医学教育コア・カリキュラムに盛り込まれている「医の原則」(医の倫理・生命倫理、患者の権利、医師の義務と裁量権、インフォームドコンセント)、「安全確保と危機管理」、「コミュニケーションとチーム医療」、「論理的思考」(課題探求・解決、生涯学習能力の養成、医療の評価)というような面での確固とした認識力を身につけるよう指導しているが、これらは、単なる医学教育の現場のみでなく、学生生活全般において向上に努める必要がある。

医学の専門教育を始めるにあたって、基礎科学としての生物学、物理学、化学など基本知識の確認をしながら、医学教育入門に必要な準備教育が行われる。
医学は Medical Science と呼ばれるように、巨大な応用科学として今日の隆盛を築きあげている。その内容は、解剖学、生理学、生化学などの基礎医学、病理学、薬理学、微生物学、医動物学、免疫学などの臨床基礎医学、そして臨床医学の多くの各専門領域に、また衛生学、公衆衛生学、法医学といった人間社会を対象とする重要な局面をもつ社会医学などに細分化されて、それぞれが講座単位の縦割りの形態で運営され、講座間の閉鎖性が手伝って科目相互間の有機的連携が不十分であった。
この弊害を無くする目的で導入されたのが医学教育コア・カリキュラムを基盤とした統合カリキュラムである。これによって学習者は科目ごとの横の関係を把握しつつ内容の学習を進めることが可能となっている。
ここでは教師側の科目間の連携が重要であり、その良否は結果を大きく左右するので、本学では教員のワークショップを定期的に開催し、教育手法の向上に努めている。

臨床医学教育の学習は診療の基本の理解からはじまる。
基本的診療知識、基本的診療技能を体得することにはじまり、患者の症候からその病態を推理し、診断に導くプロセスを学ぶ症例検討 (ケーススタディ) などを通じて、各種の疾患の診断・治療について学ぶ。
高学年の診療参加型臨床実習 (Clinical Clerkship) ではそれまでに修得した知識・技術を指導医の指導の下に実地に経験し体得していく。

臨床医学緒及び社会医学の学習は、当然、カリキュラムの大きな部分を占めることになる。しかし、その内容と知識量は膨大な量にのぼるので、何から重点的に学習するかが鍵となる。
それぞれの総論にはじまり各論にいたる系統的な概念を理解し整理して修得するという学習法が大切である。


