研究室から


当講座では、過去30年以上にわたり「皮膚真菌症」を研究のメインテーマとして取り組んできました。近年医真菌学を研究テーマとする皮膚科教室が減少している中、日本の皮膚真菌症研究の中枢的立場を担っていることを自負し研究に励んでいます。また、学外からの分離真菌同定依頼や真菌症の診断、治療の相談について総合医学研究所皮膚真菌学研究部門と共同で応じています。平成22年度からは厚生労働省科学研究費補助金による真菌症の国内診断・治療ネットワークの構築の研究(河野班)に参加し、皮膚真菌症の啓発・教育にも力を入れています。

病原真菌の分子分類学的検討

従来、真菌は生物学的手法で分類・評価されてきましたが、1980年代に分子生物学的に検討する研究方法をいち早く取り入れ、以後主軸テーマとして研究を行ってきました。ミトコンドリアDNA、核リボソームDNA、その他種々の分子マーカーを用いて、スポロトリクス属真菌、白癬菌、各種黒色真菌、カンジダ属真菌の分類の見直し、分子疫学的検討を行っています。特にスポロトリクス属真菌や白癬菌では、世界各地から分離された株を系統的に収集し検討を続けています。一方、従来の分類法と分子生物学的分類法とでは矛盾が生じることが多々あり、これらの問題を解決するために、多遺伝子を用いた検討を行い、両者の概念の整合性をどう取るかについて提案を続けています。

真菌症の臨床研究

臨床研究では、真菌症の分子マーカーによる迅速診断法の確立をすすめています。また、格闘技競技者におけるTrichophyton tonsurans感染による白癬の集団発症の実態調査と予防策の考案に取り組んでいます。また、真菌の生死の判別に用いる遺伝子マーカーの検討にも取り組んでいます。

その他の研究テーマ

真菌を軸にしながらも、生体側に注目し、真菌成分やその他の外来抗原に対する免疫応答の検討、さらに表皮内のLangerhans細胞の動きや伸長する真菌の顕微形態の画像解析といったイメージングの手法を用いた研究や、皮膚や病原真菌の電子顕微鏡的観察などを組み合わせた研究などが立体的に組み合わされ、特に学位取得者は各自が興味を持って研究に当たれるように工夫しています。