研修医・学生へ

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募集案内

プログラムの目的と特徴(科の特色、特徴など)

 当院は金沢近郊の内灘の地にあり、石川県北部の基幹病院として能登半島をはじめ、金沢市、加賀地方、富山県西部から広く患者が集まる地域医療の拠点であります。皮膚科の研修は、のんびりとした一方で厳しさもある北陸の地で、じっくりと時間をかけて医師としての研鑚を積むことができます。得てして研修は時間に追いまくられ、次々に訪れる患者をこなしていくだけで精いっぱいになりがちです。しかし、ここでは自分のペースで、自分を見つめなおし、語り学びあいながら医療に向き合い、真の皮膚科医として実力をつけることのできる研修施設と思います。

 医局は地方私立医科大学の小医局らしく、学閥のない家庭的な穏和さと、風通しのよさが特徴です。1つ1つの症例に向き合い、考え悩み独習し、同僚に援助を受け、先輩に教えを乞い、診断し治療に移る時間と気持ちの余裕がここにはあります。病棟回診や症例検討会においても、上級医が意見を押し付けるのではなく皆が意見を出し語り合う場を作り上げています。そのため、研修医でも自らがきちんと調べ、EBMに基づいた意見であれば積極的に取り入れられます。昼食時間には医局で飲食を共にし、語り笑いあう居心地の良い医局の雰囲気は、医療者としての人格形成にも必ずや良い影響を与えることでしょう。

 基幹病院である当院には北陸各地から症例が集まり、都会では見ることのできない希少疾患に遭遇することが多く、他では得られない臨床経験ができるのは論を待ちません。一方で、その立地条件から多くのcommon diseaseの患者さんも受診されます。そのため専攻医研修では専門に偏向するのではなく、皮膚科外来業務を中心に皮疹の見る目を養うことです。まずは皮疹を正確に記載できるようになるとことから始めます。次にcommon diseaseの患者さんに多く触れ、治療し経過を追うことが重要です。近年では、大学病院の専門性が高くなるあまり、従来ごく当たり前に行われていた検査をしなくなる若い医師が増えているようです。大学病院の研修であってもまずは基本的な部分の習得に時間をかけることにより、将来病院勤務医であろうと開業医であろうと必要な実力がつくことでしょう。

プログラム指導者と参加施設の概要

プログラム指導者金沢医科大学皮膚科学講座主任 清水 晶教授
研修施設
主研修施設金沢医科大学病院 皮膚科
研修連携施設真生会富山病院(富山県射水市)
研修準連携施設 金沢医科大学氷見市民病院 皮膚科(富山県氷見市)
恵寿総合病院 皮膚科(七尾市)
公立宇出津総合病院(鳳珠郡)
募集人数2名

プログラムについて

 このプログラムは、臨床能力と人格優れた皮膚科臨床医を育成するためのプログラムです。皮膚科臨床医として欠くことのできない基礎知識、臨床知識、診療技術、検査・手術技術を習得するのが本研修プログラムの目標です。本院は日本皮膚科学会専門医主研修施設に指定されており、日本皮膚科学会入会後5年目に、日本皮膚科学会認定専門医試験の受験資格を取得することができます。また、本プログラム中に専門医獲得に必要な症例、学会発表、論文などを揃えられるよう支援します。

研修の概要

 当科での研修中に、毎日の診療で遭遇する疾患を通して幅広い臨床能力を身につけ、診断・治療はもちろん安全管理や診療態度を身につけることを目指します。そして日本皮膚科学会認定専門医取得に足る実力を養成し、受験資格に必要な学会主催講習会への参加機会を与えます。

 週間スケジュールとしては、火曜及び金曜日に病棟回診、火曜午後からは症例カンファランスで各症例を検討します。研修中は極端に専門領域に偏らないように、皮膚科全般に均等な実力をつけられるよう指導します。

 臨床実地能力の向上と地域医療を学ぶために関連病院での研修を行うこともあります。また、専門医取得のために1年以上の関連病院での研修が必須となります。皮膚科医としての技量を高める目的で、関連領域のローテーションの希望があれば、関係科との調整を行う用意があります。

教育システム

外来研修

 皮膚科外来の基本的診療方法を学びます。教授の診察に一緒に入り、皮膚所見の取り方から基礎的な診察方法を学びます。また、教授診察日以外の日には外来処置担当として上級医と一緒に方針を決め処置を行います。その他、臨床写真撮影、皮膚生検を行います。なるべく多くの症例の皮膚生検を施行し、火曜日の病理勉強会で皮膚病理の基礎を学びます。その後、火曜日の夕方から行われる医局検討会において症例提示を行い、最終的な診断と治療を決定します。手術に関してはじめは上級医とともに手術の助手として経験を積み、難易度の低い手術から徐々に経験を増やしていきます。

病棟研修

 皮膚科病棟症例の基本的診療方法を学びます。皮膚症状を含めて、各種の診察を行います。上級医と2人1チームとして患者を担当します。基本的にはチームで治療方針を決定し、治療を行っていきます。火曜日の教授回診、金曜日の准教授回診において症例を提示し、治療方針が妥当か、また追加での検査の必要性など検討します。専門医取得に際して必要な症例があるため、症例に偏りがないように配慮しながら担当を決めていきます。

病理勉強会

 皮膚生検や手術により作成された病理標本について、火曜日に病理勉強会を行います。教授とともに病理組織を供覧し、基礎的な所見から疾患特異的な所見まで、簡便な質問を交えながら年間通じて病理について学びます。

医局検討会

 毎週火曜日に検討症例についての写真を提示して検討会を行います。大学の皮膚科医局員が全員参加し、診断や追加検査、治療方針について検討します。また病理組織についても提示し、最終的な診断を行います。

専門医取得

 当教室では全員が皮膚科専門医を習得することを目標としております。皮膚科専門医申請の資格は機構認定専門医制度の新設により研修から5年目での取得が可能となっています。研修期間中には植皮術を含む10症例の手術記録の提出、学会発表、原著論文3編以上の発表、必須講習会への3回出席などが義務付けられ、各種単位の取得が義務付けられています。無理なく最短で専門医取得ができるように、症例や、学会発表の機会を設けます。

学会発表・論文作成

 専門医取得に際して必要な学会発表や論文報告については、はじめは上級医とともに発表スライドや論文作成を行います。

先輩皮膚科医の声

小野 弘登医師(2020年入局)

 私にとっての皮膚科の面白さは、真菌、手術、病理、アレルギーなど守備範囲の広さです。入局時は皮膚科の守備範囲の広さから不安が大きかったのですが、金沢医科大学は医局の先生方の手厚いサポートがあり、自己研鑽の時間も確保しやすいため、日々成長を実感できる充実した研修生活を送れています。また金沢医科大学ではcommonな疾患から稀な疾患まで、幅広く経験できるため勉強になっています。当初は皮疹をカルテ記載することもできない状態でしたが、上級医の先生方からの指導のおかげで日常診療に自信が出てきています。研修体制がしっかりしているため、専攻医としての必要経験症例など幅広く経験させて頂いており、数年後には最短(研修5年目)で専門医試験を受験予定です。

文章だけでは分かりにくいこともありますので、金沢医科大学皮膚科に興味のある方は是非一度いらしてください。お待ちしています。

女性医師の声

野村 史絵医師(2018年入局)

 皮膚科へ入局し2年間勤務した後、1年3ヶ月の産休・育休期間に入りました。復帰するかとても悩んだのですが、医局長の先生と相談し、子育てに差し支えない範囲で無理のない働き方を整えてくださったことが決め手となり、復帰する決意をしました。復帰した当初は子供の都合で突然お休み・帰宅することになってしまうことも多かったですが、親身になって心配してくださり、その後の仕事のフォローをしてくださる医局員の方々ばかりで、助けて頂いています。このような状況でも、外来・入院診療に携わらせていただき、教授自ら毎週病理勉強会をしてくださり、忙しい中でも充実した毎日を送っています。現在は、皮膚科専門医を取得することが目標です。学びのサポートも、子育てへのサポートも手厚く、こんなに働きやすい環境は他にはないのではないかと感じます。

 先輩の女性医師から、『細々とでもいいから医療と関わり続けることがなによりも大切ですよ』と教わりました。この言葉を忘れずに今後も生活していきたいと思います。時期が来れば、私も周りのフォローに回れるよう頑張りたいです。

平川 睦月医師(2017年入局)

 私が皮膚科に入局した理由は、医師や患者さんが症状の有無や治療効果をしっかり目で見て確認できるという事に、専門性の高さとやりがいを感じたからです。

 私の入局時は同期や学年の近い先生が多く、和気藹々と症例検討を行いました。上級医の先生方はとても相談しやすく、アットホームな医局で日々学びを得て勤務しています。入局から数年後に産休・育休をいただき、現在は職場復帰しています。産休前は体調やお休みをいただく事への不安がありましたが、医局の皆さんの本当に温かいサポートがあり、復帰後も同様に皆さんにお世話になりながら、日々業務に励んでいます。小児は皮膚トラブルが多く、自分の勉強が子育てに繋がる事もあるとモチベーションも上がります。皮膚科の内容は疾患の領域が多岐にわたり、年齢層も新生児から高齢者までと幅広いため、必ず興味のある分野が見つかると思います。いずれの分野も奥深く、専門性が高いです。当医局では風通しが良く柔軟性も高いため、関心のある分野があれば周囲からのサポートも手厚く、専門性を高めていくこともできます。もしも当科に興味があれば是非一度覗いてみてください。お待ちしています。

久保田 佳子医師(2016年入局)

 私は金沢医科大学出身で、初期臨床研修も同大学病院で行いました。皮膚科を志したきっかけは、学生実習の時に肌がきれいになり大変喜ばれている患者さんをみて、救命とは別の意味で患者さんを救うことができると感じたからです。初期臨床研修の途中までは内科を考えていましたが、皮膚科で研修を行い、学生実習の時の感動と患者さんと向きあう医師になりたいという気持ちから、皮膚科に入局しました。  皮膚科は外用一つにとっても、軟膏・クリーム・ローションのうちどれが病変にとって、また患者さんにとって適しているのかを選択していきます。場合によってはジェネリックと先発品を使い分けることもあります。どんな服・靴を着て、どんな食事を好むのか、どんな癖があるのかなど患者さんの生活に密着し、患者さんとじっくり向き合いながら共に治療をおこなっていける科だと思います。また、皮膚科における女性医師の需要は高く、たとえ高齢女性の足病変であっても女性医師を希望される方もいます。

 当院皮膚科は教授をはじめ上級医の先生・後輩の先生との距離がとても近く、疾患・患者さんのことについてから、症例発表、自分の生活のことまで気軽に相談できることが魅力です。時には教授自ら文献を一緒に探してくださる、なんてこともあります。

 私は入局一年目に妊娠、出産を経験し、基礎が不十分なまま一年間の産休に入りました。産休明けには皮膚科で勉強していたことがほとんど抜け落ちてしまい、生検をするにもドキドキでした。子供のことで早退や休むこともあり、もどかしく思うときもありますが、医局員の先生方の手厚いサポートにより、現在はフルタイムで職場復帰できています。皮膚科に興味のある方もない方もぜひ一度見学・研修にいらしてください。

ライフイベントに合わせた働き方

 女性医師は妊娠出産などのライフイベントにより自身のキャリアについて悩む場面があります。また、近年では男性でも育児や介護など同じ勤務形態では継続して働くことが困難になることがあります。男女問わず皮膚科は様々なライフスタイルを選ぶことができ、キャリアが途切れにくい診療科ですが、個人の努力だけでは限界があるのも事実です。当教室では医局員が協力し支援体制を考え、様々な状況に臨機応変に対応しライフイベントに合わせた皮膚科医としての働き方を積極的に支援しています。

 現在当教室に所属している女性医師のうち2名は、出産後の子育てをしながら皮膚科医としてキャリアを積んでいます。具体的には、時短で日常業務にあたり、当直業務は子育てが落ち着くまで免除としています。1名は出産後に時短形態でから職場復帰し、現在は無理なくフルタイムで働いています。入院患者の担当は上級医とペアになって行うため、子供の急病の際に休むこととなっても対応が可能です。男女間での待遇差もなく、平等に病棟担当・外来・手術執刀などの役割を担っています。もちろん、個々人で環境・状況が異なるため(夫婦で勤務地が離れている、一時的に休職していた時期がある、育児環境など)、それぞれのケースに応じた無理のない勤務体制をとることで、私生活と両立できています。

連絡先

  • 〒920-0293
  • 石川県河北郡内灘町大学1-1
  • 金沢医科大学皮膚科学教室
  • 電話 076-218-8141
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