金沢医科大学が開学した昭和47年、久保田周介教授が就任し、ドイツ語教室の活動が開始されました。そ
の後、教室のスタッフは何度か入れ代わり、現在は原亮、公地宗弘の2名が所属しています。
現在、世界のグローバル化はますます進展していますが、かといって英語だけできれば世界のすべてを理
解できるわけではありません。グローバル化が進んだその分、世界の諸地域の固有性はかえって見えにく
いものになっています。そして、他ならぬこの地域性、言い換えると文化的差異を見つめることなしには、真
のグローバル化は決して訪れないでしょう。なぜなら、ネットワークの構築それ自体でなく、それを通じてまさ
にこの地域的特殊性、文化的差異が相互に交流しあうことこそグローバル化なのだから。そこを見落とすと、
いかに発達したネットワークであれ、多くの日本の美術館やコンサートホール同様、入れ物のない箱に過ぎ
ません。
こう考えた私たちは、ドイツ語という大半の新入生には初めての外国語を媒体として、そうした文化的差異
に言葉を通して直接接してもらいたいと思っています。そして、そのことがひいては価値観や思考方法の多
様性を考慮する態度、偏狭な考えにとらわれずに諸問題に立ち向かえる態度につながってくれればと願って
います。ひたすら外来の知識や技術の輸入のためにのみ外国語を学ぶという時代は、すでに過去のものと
なりました。そうした自覚のもと、新しい目標に向かって私たちは教育方法の改善や教材の開発に努力して
います。
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