北陸 indolent B lymphoma 治療研究会

ろ胞性リンパ腫を中心とする低悪性度B細胞性リンパ腫(indolent B-cell lymphoma)は病期の進行が緩慢なため発病後急な転帰をとる事は稀であるが、標準治療が確立されておらず、従来のCHOP療法では一時的な治療効果を認めるものの、治癒には至らず長期予後は中等度悪性度リンパ腫よりもかえって不良である事が知られている。また、マントル細胞リンパ腫も高齢者に多く、予後不良の病型であり、未だ標準的治療は確立されていない。
JCOG0203-MF studyでは、standard R-CHOP vs biweekly R-CHOPの比較検討が行われたが、疾患そのものが長期に渡る病型であるため、全生存期間に及ぼす治療成績の結果が判明するまで、更に年月を有する。
従来のCHOPは殺細胞的な抗がん剤を多く含む化学療法治療であり、そこにRituximabを加える事で、indolentで静止期の細胞の多い病気にどこまでの長期的治療効果が得られるかは未知数である。
Fludarabine,Cladribineなどのプリンヌクレオシド誘導体(アデノシンアナログ)はアデノシンデアミナーゼ(adenosine deaminase: ADA)が関与するアデノシン代謝経路を阻害し、他の代謝拮抗薬と異なり、静止期の細胞にも治療効果を有する事より、低悪性度B細胞性リンパ腫(indolent B-cell lymphoma)に有効である事の根拠とされている。
FND(FMD)療法(Fludarabine, Mitoxantrone, Dexamethasone)は低悪性度B細胞性リンパ腫(indolent B-cell lymphoma)に対して近年比較的多く試みられ良好な治療成績の報告さている治療regimenである。しかしながら、Fludarabine注射薬は本邦では今のところ保険適応が慢性リンパ性白血病(chronic lymphocytic leukemia: CLL)に限られ、低悪性度Bリンパ腫において、使用する事が困難な状況にある。
FludarabineとCladribineの作用機序/効果はほぼ同等とされており、FMD療法のFludarabine→Cladribineと変更した、CMD療法(Cladribine, Mitoxantrone, Dexamethasone)もほぼ同等の治療効果と考えられ、CMDやそれに類似した治療が実際に試みられている。更に、Rituximabは体内動態での血中の半減期も長くその効果は長期間持続する事が知られており、Rituximabを上乗せしたR-CMD療法(Rituximab, Cladribine, Mitoxantrone, Dexamethasone)にする事で、より一層の治療効果増強が期待出来る。R-CMDはB細胞機能、T細胞機能ともに強力に抑制するため、種々の感染症(ウイルス感染、ニューモシスチス肺炎など)の危険性が増大する。
パイロット研究として当科でR-CMDで加療した症例においては、十分な治療効果と安全性、簡便性が確認されたため、phase II trialとして、治療成績/安全性を検証する必要があると思われ、前方視的臨床試験を計画した。

北陸造血器腫瘍研究会を中心とした前視方的臨床研究であるが、施設のIRB承認を得れば北陸外の施設でも参加可能とする。UMIN試験ID: UMIN000001341

適格条件
以下の1)〜3)の全てを満たすもの
1)低悪性度B細胞性リンパ腫(ろ胞性リンパ腫grade1,2、辺縁帯由来B細胞性リンパ腫のMALT型、節性および脾原発、リンパ形質細胞性リンパ腫≒マクログロブリン血症など)、またはマントル細胞リンパ腫で病理学的に確診がついていて、CD20陽性が病理またはフローサイトメトリーで確認されているもの。
2)成人(20歳以上)の初発例のAnn Arbor病期分類でII期〜IV期を対象とする(I期症例は対象としない)。
3)書面により本人もしくは代諾者の同意が得られた症例
 (意識障害者や全身状態不良者などの場合は、代諾者より書面により同意を取得する)

除外条件
1)CD20陰性例や低発現例
2)明らかな重症感染症が証明されている症例(活動性結核など)
3)以前に悪性リンパ腫に対して化学療法歴がある症例
4)HIV陽性、HTLV1陽性、HBV-Ag陽性、HBc-Ab高力価症例(HCV抗体単独陽性者は除外しない)
5)自家/同種ともに造血幹細胞移植を行う予定のある症例(再発難治例での後治療は規定しないため、再発難治で本プロトコールOFFとして行う場合は差し支えないが、初回寛解例でup-frontで行うのは不可)
5)担当医が本研究への登録に不適格と判断した症例

治療方法
(1) R-CMD療法  
Rituximab 375mg/m2, div (day1)
Cladribine(2-CDA) 0.10 mg/kg,2h div (day1-3)
Mitoxantrone(MIT) 8mg/m2,div(day1)
Dexamethasone 8mg/body (day1-3)
day21までを1コースとして、3週毎に合計4コースのR-CMD療法を行う。

(2) Rituximab追加療法
Rituximab 375mg/m2, div
4週間間隔で、4回追加投与(Rituximabは合計8回投与)
以上で治療終了とする。

(3) 補助療法
本治療法では、骨髄抑制や心毒性、肝障害などはR-CHOP療法等に比べて軽い傾向があるが、B細胞、T細胞機能ともに低下させ、感染症のリスクが高くなるので感染予防は十分に行う。
a, ニューモシスチス感染予防:バクタ 2T/分2、週3回投与を、治療開始〜治療終了2ヶ月後まで継続する。
b, 抗真菌剤予防内服:治療開始〜治療終了2ヶ月後まで継続する。
c, 帯状疱疹などを発症した場合は、早急にaciclovir等の全身投与を開始し、治癒するまで化学療法は延期する。
d,一般的な抗菌剤(ニューキノロン等)の予防投薬は規定しない。細菌感染が疑われるまたは認められる場合は、速やかに主治医の判断で対処する。
e, 治療開始〜終了後3ヶ月は、インフルエンザ・ワクチンなどの接種は控える。流行期には感染予防を勧めるとともに、感染が同定された場合には速やかに抗インフルエンザ薬にて治療を行う。

Studyとして上記治療を行う場合は必ず、各施設のIRBの承認後に、下記研究事務局へ御連絡の後に行ってください。

お問い合わせ
金沢医科大学 血液免疫制御学(血液・リウマチ膠原病科)
北陸indolent B-lymphoma治療研究会事務局
御連絡いただければ、full protocolをお送りします。