2013年9月

平成25年度第3回健康管理講座を開講しました。

日 時 : 平成25年9月21日(土)13:30~

場 所 : 当院 病院本館4階会議室

演 題 : 『これからの人生を健やかに生きる』

講 師 : 総合診療センター 田村 暢煕先生

 

第3回目は『これからの人生を健やかに生きる』と題して、総合診療センターの田村暢煕先生から、主に肥満の原因や予防について詳しく解説がなされました。講座の後半では先生にならって受講者の皆さまが実際に体を動かすことで、運動不足解消のための正しいトレーニング法を学びました。

10月26日の閉講式まで、延べ6回にわたって開講いたしますが、途中からの参加も可能です。
参加ご希望の方は、病院管理課(庶務係)へ電話またはFAX、メール(氏名と連絡先を記入)でお申込みください。
皆さまのご参加をお待ちしております。

 

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日 程      : ※こちらからご覧ください。

受講料      : 無料(ただし、初回受講時に教材費として500円を負担していただきます。)

申し込み先    : 病院管理課(庶務係)

TEL      : 076-218-8206

FAX      : 076-286-2372

メールアドレス  :  kanrika@kanazawa-med.ac.jp

金沢医科大学 教えて!ドクター 第18回

肺がんの診断と治療

分子標的治療薬で劇的に進化

仮想気管支鏡などの新手法も

分子標的治療薬の登場で肺がん治療は劇的に進化しました。がんの切除を最小限にとどめる縮小手術や、FDG-PET※1とMRI※2の併用、バーチャル(仮想)気管支鏡による診断など新たな手法も導入されています。進化する肺がんの診断と治療について金沢医科大学呼吸器外科学の佐川元保教授と呼吸器内科学の水野史朗准教授に教えていただきました。


【今月の回答者】

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水野 史郎(みずの しろう)    佐川 元保(さがわ もとやす)  

金沢医科大学呼吸器内科学准教授    金沢医科大学呼吸器外科学教授

金沢医科大学病院呼吸器内科准教授   金沢医科大学病院呼吸器外科教授

 

増加する肺がん患者、
男性の死亡率第1位

佐川 肺がんの患者数が増え続けています。死亡者も増加しており、人口10万人当たりの死亡率を見ると、男性ではダントツの1位、女性でも大腸がんに次いで2位になっています。

水野 喫煙習慣が肺がんの主な原因の1つであることが分かっています。長年にわたって喫煙を続けた人が発症しやすく、患者さんの多くは高齢者です。喫煙率が下がってきているにもかかわらず患者数が増え、死亡率が高くなっているのは、社会の高齢化が進んでいることも一因だと考えられています。

佐川 ただ、喫煙との因果関係が少ないとされる腺がんが特に増えていることも見逃せません。肺がんは小細胞がんと非小細胞がんに大別され、非小細胞がんはさらに腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんに分類されます。このうち腺がんは肺の奥深くの肺胞にできるがんで、非喫煙者や女性も多く発症しています。

水野 肺がんの80~85%が非小細胞がんです。腺がんが最も多く、全体の半分程度を占めています。

 

ピンポイント攻撃の
分子標的治療薬      

佐川 腺がんをはじめ、扁平上皮がん以外の非小細胞がんの新たな治療法として脚光を浴びているのが分子標的治療薬です。従来の抗がん剤は投与してみなければ効果の有無が分かりにくいうえ、一時的に効果があっても、次第にがんが進行することは避けられませんでした。しかし、分子標的治療薬は末期がんでも劇的に改善する例があり、治療の方向性が根本的に変わりました。

水野 抗がん剤が細胞のDNAを攻撃するのに対して、分子標的治療薬はがん細胞が持っている増殖や転移、血管の新生などに関与している分子を特定し、その働きをピンポイントで阻害することでがん細胞をやっつけます。

佐川 現在、日本で肺がん治療に承認されている分子標的治療薬はゲフィチニブ、エルロチニブ、クリゾチニブ、ベバシズマブの4種類です。ゲフィチニブとエルロチニブはがん細胞の増殖に関係する上皮成長因子受容体(EGFR)、クリゾチニブはがん細胞を増殖させる未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)をターゲットとし、ベバシズマブは血管の新生に関係する血管内皮細胞増殖因子(VEGF)をターゲットとしています。

水野 EGFR、ALKなどに対する分子標的治療薬はターゲットとなる分子を持つ患者さんの8割以上に効果があります。ただし、ターゲット分子を持たない患者さんにはあまり効果がありません。治療前から効果が予測でき、それぞれの患者さんに合った薬を選択できるのが最大のメリットです。分子標的治療薬の登場により肺がんの余命データは大きく向上していくでしょう。

 

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分子標的治療薬「クリゾチニブ」投与開始前(左)と投与約3カ月後の肺がん患者のFDG-PET画像。肺がんや全身に転移しているがんが明らかに縮小している

 

遠隔転移がんの切除や
縮小手術も実施  

佐川 今や早期がんの切除手術の大半が体への負担が少ない胸腔鏡を使って行われています。北陸では本院が他に先駆けて始めました。約7センチの穴1カ所と1・5センチほどの穴2、3カ所を開けるだけでがんの切除ができます。

水野 分子標的治療薬は発展途上にあります。今後さらに遺伝子解析が進み、分子標的治療薬の選択肢が広がるだけでなく、従来の抗がん剤もより効果的に使えるよう になると期待されます。また、現時点では早期がんは切除手術、進行がんは抗がん剤や分子標的治療薬治療が基本ですが、新たな分子標的治療薬や抗がん剤を組 み合わせることで、進行がんでも切除が可能になることも期待できます。

佐川 呼吸器内科と連携しながら、導入療法として抗がん剤治療を行ったうえで切除する取り組みをすでに行っています。がんがかなり進行していて、直接切除しても すぐに再発が想定されるような症例が対象です。まず抗がん剤でがんを小さくしてから切除し、手術後にも抗がん剤を投与することで予後を改善できます。

水野 患者さんのQOL(生活の質)を高めるステント治療も、呼吸器内科と呼吸器外科が連携して実施しています。がんが大きくなって気道が狭くなっている患者さ んに対して、気管支鏡を使ってステントという筒状の器具を気管支内に留置して気道を確保します。呼吸困難が緩和され、会話や食事も可能です。ステント治療 の大半は呼吸器外科医の立ち会いのもと、呼吸器内科医が担当しています。

佐川 呼吸器外科では遠隔転移例に対する外科的切除の多施設共同臨床試験に参加しています。通常、遠隔転移がある症例は呼吸器内科にお任せするのですが、転移が 1カ所だけの場合に限り、転移がんも切除するものです。また、極めて早期の腺がんを対象に切除範囲を小さく済ます縮小手術の多施設共同臨床試験にも参加しました。4年後には治療成績が判明します。

 

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がんの増大で高度に気道が狭窄している気管(左)とステントで気道が確保された気管

 

診療科超えた連携で
集学的な治療と診断

水野 私が今取り組んでいるのは、喫煙患者における肺がん発生と気腫化病変におけるがん抑制遺伝子p53の関与についての研究です。喫煙を続けるとp53というがん抑制遺伝子が発現することが分かっていますが、個々の遺伝子の違いによって気腫化や肺がん化、抗がん剤への反応などが違ってくることが想定されます。基礎的実験や臨床データの集積を通じてp53の役割の解析を目指しており、北國がん基金の研究助成対象に選ばれました。

 佐川 呼吸器外科では肺がん診断のレベルアップにも取り組んでいます。その一つがバーチャル気管支鏡の導入です。樹木状に枝分かれした肺の末梢部分にある小さな病変を診断するには気管支鏡で細胞を採取しなければなりませんが、あらかじめ撮影したCT情報を基にしたシミュレーション画像を使って案内することで、細胞の採取が迅速かつ正確に行えるようになりました。私どもはそのソフト開発にも協力しました。また、放射線科と連携してFDG-PETとMRIを組み合わせることで、より的確な病期診断や良悪性診断につなげています。

 水野 呼吸器外科、呼吸器内科、放射線科などが科を超えて連携し、より集学的な肺がんの診断と治療に取り組んでいることも本院の特徴かもしれません。肺がんの検査・治療に関するカンファレンス(症例検討会)も合同でやっています。

   佐川 CTによる肺がん検診が本当に死亡率の減少などにつながっているかどうかを統計的に調べる「CTによる肺がん検診の有効性評価のための無作為化比較試験」も国の支援を受けて実施しています。2010年度から開始し、13年度までに石川県内5市町を含む7県20市町が参加しています。X線検診とCT検診の2群に分けて調査するもので、10年以上かけて調査する予定です。

 

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「肺がん診断の高度化にも取り組んでいる」と語る佐川教授

 

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「効果を予測できるのが分子標的治療薬のメリット」と語る水野准教授

 

【月刊北國アクタス2013年9月号掲載】


金沢医科大学病院

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