2013年12月

金沢医科大学 教えて!ドクター 第21回

冬こそ注意、目の日焼け

横からの紫外線が特に危険
雪に反射 白内障などの原因に

冬は肌の日焼け対策を怠ってもさほど影響はありませんが、目の場合、そうはいきません。積雪後の晴れ間などは想像以上に多くの紫外線を浴びており、長年にわたると白内障、翼状片(よくじょうへん)、瞼裂斑(けんれつはん)などの病気を発症しやすくなると考えられるのです。どうすれば目の日焼けを防げるのか、金沢医科大学病院眼科の佐々木洋教授に聞きました。

 

【今月の回答者】

佐々木 洋(ささき ひろし)

金沢医科大学病院 眼科教授(科長)
日本眼科学会評議員・指導医・専門医
日本白内障学会理事

 

長年浴び続ければ
瞼裂斑や翼状片に

紫外線が肌に悪いことはよく知られています。しかし、目に対しても悪影響を及ぼしていることは、残念ながらまだあまり知られていないようです。肌と同じように短時間に大量に浴びなければ症状が出ないため自覚しにくいことに加え、肌ほどにはリスク情報や啓蒙が行き渡っていないからでしょう。

実際には目も紫外線を浴びると日焼けし、さまざまな目の病気の原因になっていると考えられます。分かりやすい例で言うと、紫外線の多い赤道直下の住民は紫外線の少ない北欧の住民に比べ、白内障になる年齢が20年ほど早いという疫学的データがあります。日本人と比べても10年ほど早くなっています。

また、沖縄県民と石川県民とを比較すると、沖縄県民の方が白内障になる年齢が早いことも私どもの調査で明らかになっています。

大量の紫外線を集中的に浴びることで起きる急性の目の日焼けは、紫外線角膜炎・結膜炎を引き起こします。いわゆる「雪目(ゆきめ)」と呼ばれているもので、晴れた日のスキー場で無防備に過ごしていると、てきめんに発症します。溶接に従事したり、殺菌灯を近くで長く見詰めたりしても発症することがあり、電気性眼炎とも呼ばれます。

角膜や結膜に炎症やびらんが起き、ひどい場合は角膜の表面が脱落して潰瘍(かいよう)のようになってしまいます。黒目は知覚が過敏なのでものすごく痛く、夜中に救急搬送される人もいるくらいです。

一方、慢性の日焼けは紫外線を長年にわたって浴び続けることで起きます。最も多いのが黒目のわきにシミができる瞼裂斑です。白内障や、その前兆である老眼、黒目(角膜)部分に白目(結膜)部分が侵入してくる翼状片なども発症しやすくなるとされています。

 

夏の沖縄の砂浜上回る
スキー場の紫外線量

夏の日中は紫外線が強烈なことは皆さんよくご存じのはずです。目も当然、ダメージを受けます。ただ、人間は15度ほど顔を下に向けて過ごす時間が多く、おでこと眉によって太陽から直射される紫外線はある程度、防ぐことができます。

しかし、紫外線は上からだけでなく、横からも浴びます。チリ、ホコリや、地表に反射してくる散乱紫外線です。朝夕など日が傾いている時間帯の紫外線は肌への影響は少ないのですが、実は目にとっては、この横から入ってくる紫外線が最も危険です。

耳側から水平に目に入ってくる紫外線は角膜で屈折し、鼻側の角膜と結膜の間に20倍程度に集光されるのです。局部に紫外線が集中するわけであり、翼状片や白内障がこの部分から発症しやすい原因だと考えられています。

冬は太陽が高く上がらないので紫外線対策を怠りがちですが、目は相当に強い紫外線にさらされていることをぜひ知っておいてください。積雪後の晴れ間などは、雪が強烈に紫外線を反射するためなおさらです。アスファルトだと10%程度しか反射しませんが、雪は約90%も紫外線を反射します。

ところどころに雲がある晴れた日も、雲に紫外線が反射して散乱紫外線が多くなるため要注意ですし、薄曇りでも晴れている時の8割程度の紫外線を浴びています。

夏の沖縄のビーチと3月の白峰(白山市)のスキー場とでは、どちらが目に浴びる紫外線が多いと思いますか。白峰のスキー場の方が実に2・5倍も多いのです。時間帯によっては5倍ほどにもなります。

私どもの調査では、冬に肌が浴びる紫外線量は夏の10分の1にすぎませんが、目は夏の半分程度の紫外線を浴びています。目の日焼けは太陽が出ている昼間中、そして季節を問わず1年中、注意しておく必要があるのです。

 

95%以上UVカットの
サングラスを開発

では、目に入ってくる紫外線はどうしたら防げるのでしょうか。できるだけ目に近いところで対策を施すことが基本になります。最も有効なのは、UVカットのソフトコンタクトレンズです。角膜に入る紫外線の98%をカットしてくれます。日本では2社から販売されています。でも、普段コンタクトレンズを着用していない人は、なかなか使いにくいかもしれません。

次に効果的なのはサングラスで、90%以上の紫外線を防いでくれます。眼鏡やキャップも70%程度の紫外線をカットしますが、日傘だとあまり効果がありません。

より完ぺきを期すなら、私が眼鏡メーカーと昨年6月に共同開発した女性用サングラス「メニィーナ」をお勧めします。特徴は①ツルの幅を約1センチと太くして、耳側から入る紫外線を防ぐ②上部と下部にフードを設け、上下からの紫外線を防ぐ③日本人の顔の形にフィットする設計、などです。レンズの色も濃すぎないように配慮しています。色が濃いと瞳孔が開き、紫外線が入りやすくなるからです。

「メニィーナ」は目に入る紫外線を95%以上カットします。キャップと併用すれば、まさに万全と言えるでしょう。6タイプが発売されており、石川県内でも一部の眼科医院、薬局、雑貨店で取り扱っています。価格も手ごろだと思います。

 

教育現場に求められる
子どもの紫外線対策

目が慢性的に浴びる紫外線の量は職業や生活習慣によって異なります。屋外で仕事する時間の多い建築・土木関係や農業従事者、長時間の運転を強いられるドライバーなどは紫外線を多く浴びているはずです。屋外で練習や試合を行うスポーツ選手も同様です。

特に注意を喚起したいのは子どもの紫外線対策です。屋外で過ごす時間が多い子どもたちは、日常的に相当量の紫外線を浴びています。私どもの調査では、サッカーや野球のクラブに入っている子どもたちの中には、小学生なのに瞼裂斑を発症しているケースがありました。

子どもたちはこれから長い年月、紫外線を浴び続けることになります。きちんと証明されているわけではありませんが、最初に紹介したように、長い年月にわたって紫外線を多く浴びていると、早期に老眼や白内障になる可能性が極めて高いと考えられます。

教育現場においては、子どもたちの目の日焼け対策は全くと言ってよいほどなされていないのが実情です。子どものうちから紫外線対策に取り組む必要性を強く訴えたいと思います。

 

「子どもの紫外線対策が必要」と強調する佐々木教授

【月刊北國アクタス2013年12月号掲載】

災害訓練を実施しました。

当院では毎年、地震や火事に備えるために災害訓練を実施しております。
今年度は、11月20日(水)に内灘町消防本部の指導の下、1000人以上の職員や患者さまが参加しました。外来や病棟のフロア毎に地震に伴う出火を想定した1次訓練、日中の火災を想定した2次訓練、夜間の火災を想定した3次訓練の3回に分けて行われ、参加者は通報や初期消火、避難誘導、報告等の訓練を実施しました。

今後も当院の安全管理に努め、防災体制の強化に努めてまいります。

 

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