2014年5月

5月31日(土)は世界禁煙デーです。

5月31日(土)は世界禁煙デーです。当院では以下のとおりポスター掲示、禁煙相談コーナーの開設を行いますので、

どなたでも気軽にお越しください。


【ポスター掲示】
期間:5月27日(火)~6月6日(金)
場所:新館1階再来受付機付近(防災センター横)


【禁煙相談コーナー開設】
日時:5月29日(木)10時~15時
        6月 5日(木)10時~15時
場所:新館1階再来受付機付近(防災センター横)
参加費無料、どなたでもご参加いただけます。


詳しくはこちらをご覧ください

 

 

 

金沢医科大学 教えて!ドクター 第26回

最新の人工股関節治療

目覚ましい進化で「寿命30年時代」へ

変形性股関節症は中高年女性に多い病気です。金沢医科大学病院整形外科は重症患者に対して、年間約200例もの人工股関節治療を実施しています。性能の進化や、患者個々に合わせた治療法により極めて高い成績を収めているだけでなく、著しく長持ちするようになり、「寿命30年」も視野に入ってきました。最新の治療法について金沢医科大学病院整形外科の兼氏歩臨床教授が解説します。

 

【今月の回答者】

兼 氏 歩

金沢医科大学病院整形外科臨床教授
日本整形外科学会専門医・認定リウマチ医
日本人工関節学会評議員
日本股関節学会評議員

 

性能向上著しい
セメントレスが主流

変形性股関節症は股関節をなめらかに動かしている関節軟骨が、先天的な異常や長年の酷使によって徐々にすり減っていく病気です。初期であれば足を動かす時に股関節に痛みが生じる程度ですが、進行すると杖が必要になったり、歩けなくなったりします。

日本人の場合、圧倒的に中高年の女性患者さんが多いのが特徴です。股関節脱臼や、寛骨臼(骨盤側のおわん状のくぼみ部分)のかぶりが浅い臼蓋形成不全など、先天的な異常による発症も少なくありません。50歳を超えていて、症状が進行している場合は、大方は人工股関節を装着する治療が必要になります。

人工股関節は人工大腿骨(ステム)、人工大腿骨頭(ヘッド)、人工関節軟骨(ライナー)、人工臼蓋(カップ)という4つの部品で構成されています。かつてはステムやカップをセメントで固定する方式が一般的でしたが、セメントを使わないセメントレス方式が開発され、金沢医科大学病院長の松本忠美教授らがいち早く米国から導入しました。

その後もセメントレス方式の性能が目覚ましく向上した結果、現在では約8割がセメントレス方式による治療になっています。金沢医科大学病院もセメントレス方式が中心です。しかし、骨粗しょう症などで骨が弱くなっている場合には旧来型のセメント方式で対応するなど、患者さんの年齢や骨の状態に応じて最適な治療法を選択する個別化医療を徹底しており、極めて高い治療成績を収めています。評判が口コミで広がったのでしょうか、年間の症例数は約200件と北陸最多となっています。

 

骨密度低下を防ぐ
APSステム

セメントレス方式の人工股関節は、比較的年齢が若く、骨がしっかりしている患者さんに適用しています。使用するステムは私が研究・開発にかかわったAPS(アナトミック・プラズマ・スプレーコーティング)ステムで、3つの大きな特徴があります。

まず、材質が生体との親和性が良く、アレルギーを起こしにくいチタン合金であること。特に大腿骨との固着(しっかりくっつける)部分はチタンを吹き付けてザラザラした表面に加工してあり、骨の細胞が入り込みやすく、がっちりと骨に結合させることができます。

大腿骨への固着部分を骨頭近くの狭い範囲に設計してあるのも特徴です。無重力状態で長く過ごすと骨粗しょう症になるように、骨は力が加わっていない状態(「応力遮蔽」と呼びます)だと次第に痩せていく性質があります。

そのため、応力遮蔽を大幅に抑制する設計によって骨密度を落ちにくくして、人工股関節が長持ちするように工夫してあるわけです。術後2年経過時のデータでは、従来のステムでは骨密度が20%以上落ちていましたが、APSステムはわずか3%強の減少にとどまっています。

さらに、CTを活用して日本人の大腿骨形状を三次元的に解析し、日本人仕様の3種類の形状をそろえています。ボディー部分に対する先端部の角度がそれぞれ微妙に異なっており、患者さんの体の特徴などに合わせて使い分けることで最適にフィットさせることができます。これも人工股関節の寿命を長持ちさせる要因の一つです。

 

骨とかみ合いやすい
新型カップが登場

ライナーはクロスリンクポリエチレンという磨耗が格段に少ない材料が使われるようになり、長持ちするようになりました。ヘッドは摩耗しにくいコバルトクロム合金製を使っていましたが、最近、デルタセラミック製に切り替えました。これは割れにくい特性を持つジルコニアと、摩耗しにくい特性を持つアルミナを混合したセラミックで、強度と対摩耗性に優れるうえ、金属アレルギーの懸念もなく、より安全性が高いと判断しました。

カップについてはステムと同様、チタン合金製を使っています。骨盤に固着させる外周部分は骨と結合しやすいよう表面をザラザラに加工してあります。

最近になって、この表面加工にタンタルという金属を使った新しい製品が登場しました。骨の海綿構造に似たたくさんの穴がある構造のため、装着した時に骨とかみ合い、すぐにくっつきやすいのが特徴です。また、骨の細胞が穴の隅々にまで入り込んで成長するため、固着性も高く、本院もこのタイプを導入する方針です。

カップの骨盤への固定方法は昔ながらのネジ式を採用しています。米国ではガツンとたたいて装着するはめ込み式が主流で、日本でもはめ込み式が増えていますが、冒頭で触れた通り、日本人は寛骨臼のかぶりが浅い臼蓋形成不全の患者さんが多く、確実に固定するにはネジ式の方が適していると判断しています。

実際、ここ15年近くの間にネジ式カップを装着した1792人の患者さんで、不都合が生じた例は1件もありません。

3月に米国・ニューオリンズで開かれた米国整形外科学会に出席してきました。シンポジウムでは骨盤が割れるなどのはめ込み式による不都合事例が報告され、ネジ式が再評価されるきっかけになりそうです。

このように、私どもは新しい素材や手法にやみくもに飛びつくのではなく、さまざまな観点から慎重に検討し、その時点で最善と思われる治療法を選択しています。こうした治療姿勢も成績向上につながっているものと自負しています。

 

15~18年経過後も
トラブルはゼロ

かつて、人工股関節の寿命は10年、長くても15年といわれていました。そのため、「60歳になるまでは入れるべきではない」との声もありました。

しかし、1980年代以降、技術革新が急ピッチで進み、セメントレス方式については「20年経過後の機能生存率は95%」というデータが世界レベルで示されており、整形外科領域における最も目覚ましい成果を収めた手術とも評価されています。

私がこれまでにかかわった94年以降のセメントレス方式の人工股関節手術のうち、15~18年経過した患者さんは100人以上に上りますが、まだ1人も入れ替えに至っていません。ここまでの経過を見る限り、ほとんどの人が20~25年は持つだろうと見ています。

APSステムなど最新の人工股関節治療を施した患者さんについては、30年後でも恐らく70%程度は入れ替えの必要がないものと予想しています。人工股関節手術は「寿命30年時代」を迎えたと言っても過言ではないと思います。

本院の整形外科が目指しているのは「生涯、自分の足で歩き続けられる人工股関節」の実現です。変形性股関節症にお悩みの方、また人工股関節の交換が必要になっている方は、ぜひ専門外来を受診してください。

 

チタン合金を吹き付け加工したカップ(左)とタンタルを使用した多孔性構造のカップ

 

人工股関節の構成部品

 

 

APSステムの特徴を説明する兼氏臨床教授

 

【月刊北國アクタス2014年5月号】

6月1日(月)は大学開学記念日の振替休日のため、休診いたします。

6月2日(月)は大学開学記念日の振替休日のため、外来診療は休診し、病院バスも運休となります。

休診期間は、緊急を要する患者さんを対象とした診療体制となります。

緊急以外は待ち時間が長くなりますので、近隣の医療機関をご利用くださいますようお願いいたします。

金沢医科大学病院

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