集学的がん治療センター
18-1 集学的がん治療センター|教授 元雄良治
1.「集学的がん治療センター」の必要性
がんの診断と治療の進歩は日進月歩です。しかし、医療サイドの懸命な努力にもかかわらず、がん医療にはなお難しい問題が伴います。
一般に、がんは手術で切り取る治療がベストであり、がんが発生した臓器を担当する外科が手術して、術後に化学療法(抗がん剤治療)を行い、必要に 応じて放射線療法を放射線治療医に依頼するものと考えられてきました。
しかし、手術療法、化学療法、放射線療法のいずれもが著しく進歩した今日、最先端のがん治療を目指すためには、ひとつの診療科で完結する治療では なく、全身状態の検査、診断、外科手術、内科治療、抗がん剤治療、放射線治療などを各専門分野の学識技術を集めながら行う「チーム医療」が必要な時代とな りました。
2.「集学的がん治療センター」の治療態勢
「集学的がん治療センター」は、「21世紀集学的医療センター」の一角に位置します。そこでは、腫瘍制御を専門とする腫瘍内科医 (MedicalOncologist)と、発生臓器を担当する外科医、放射線治療を担当する放射線治療専門医、その他の専門医、専門看護師、薬剤師、栄 養士らが緊密に連携して、最新の腫瘍摘出術、腫瘍制御薬剤、ホルモン剤、分子標的薬、血管内抗がん剤などの投与技術、放射線治療技術などを駆使して、個々 の患者さまの病態に最適な治療(BestTreatment)をコーディネートし、安全な方法で実施します。
1) がんの早期発見
がんは、早期発見と早期治療以上に優れた治療法はありません。当センターでは、啓蒙活動を含め早期発見のキャンペーンを実施します。また、がんを 心配して来院された患者さまについて、きめ細かな検査を実施します。早期がん、再発がん、遺残がんなどの発見に威力を発揮する PET(PositronEmissionTomography)も、第2新館の完成に合わせて導入する予定です。当センターではがんについて総合的に患 者さまを診ていく方針ですので,がんではないが,がんが心配な方も気軽にご相談下さい.
2) 学的がん治療コーディネート
患者さまの病状について、センターの医師と各診療科の専門医が緊密に連絡しながら多角的に検討して、ベストの治療計画を作成します。これにより、 一人の医師の個人的な方針で治療法がすべて決まってしまうと言う事態が避けられ,患者さまやご家族がより納得できて,安心して治療を受けられるようになり ます。
3) 来通院がん化学療法
効な抗がん剤治療や副作用対策の発達はめざましく、いまは外来通院で化学療法を安全かつ効果的に実施することが可能となりました。抗がん剤投与に は細心の慎重が期されるため、専門の腫瘍内科医、看護師、薬剤師らがチームを組んでその実施に当たります。通院治療には、患者さまの社会生活を保持しつつ 抗がん剤治療を続けられるという利点があります。
4) 地域がん登録
がん登録を正確に行い、各種がんの発生状況や治療成績を調査することは、治療法の検討と改善のために重要なことです。当センターでは、国立がんセ ンターおよび地方のがんセンターで登録の訓練を受けた専任の事務員が、登録の作業にあたります。もちろん個人情報の保護には万全を期します.
5) セカンドオピニオン対応
患者さまから現在受けている治療に関する検証の要望があった場合は、病状を診察するとともに、現在の主治医と連絡をとり、適切な治療が進められる ように取り計らいます。セカンドオピニオンは通常の診察とは別に行いますので,詳細は別途お知らせ致します.
6) 腫瘍カンファレンス
定期的に当院の内科・外科・放射線科・病理など腫瘍治療に関係する医師・看護師・薬剤師などが一堂に会し,治療法の選択が難しい例を中心に様々な 角度から討議して,最良の治療法を探るようにします.
7) 瘍制御薬剤と治療法の開発
当センターでは,日々の診療の中からヒントを得て,基礎的研究の成果をもとに画期的な薬剤の開発を目指します.また薬剤だけに限らず,生体の治癒 力(がんに打ち克つ能力)を高めるような免疫療法,新しい医用工学技術を駆使した局所制御法など,有効でかつ体に負担をかけない治療法の開発に取り組みま す。



