メタボリックシンドローム-診断基準-
19-2 生活習慣病センター
1.メタボリックシンドロームとは
生活習慣病のなかでも特に重要な肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧症はそれぞれ別個の疾患として注目されてきました。しかし、これらの各疾患の初期 徴候は実は互いに関連しあいながら一人の患者に重複して認められることが多く、このような患者では心筋梗塞や脳血管障害などの動脈硬化性疾患をおこす頻度 が高いことがわかってきました。以前はこれらの病態を表現する際に、「シンドロームX」、「内臓脂肪症候群」、「インスリン抵抗性症候群」あるいは「死の 四重奏」という言葉が使用されましたが、現在は「メタボリックシンドローム」という言葉に統一されて、わが国では平成17年4月にその診断基準が提示され ました。
2.メタポリックシンドロームの診断基準
最近の住民検診を受診された人は「へその高さでの腹部周囲径」を測定されたことと思います。これは実は、メタボリックシンドロームの診断と密接に 関係しています。わが国のメタボリックシンドロームの診断基準(表1参照)は次の通りです。
先ず、内臓脂肪(あるいは腹腔内脂肪)の蓄積に関して「へその高さでの腹部周囲径」が男性で85cm以上、女性で90cm以上認める人が対象とな ります。この条件を満たす人は内臓脂肪の蓄積量が過剰であると判定されます。この条件を満たす人の中で、次の3項目のうち2項目以上があてはまればメタボ リックシンドロームと診断されます。すなわち、一つ目の項目は、空腹時採血で中性脂肪が150mg/dl以上、あるいはいわゆる善玉と呼ばれるHDLコレ ステロールが40未満の少なくともいずれかを満たす。二つ目の項目は、収縮期血圧が130mmHg以上あるいは拡張期血圧が85mmHg以上の少なくとも いずれかを満たす。三つ目の項目は、空腹時血糖が110mg/dl以上の値を示すことです。内臓脂肪の蓄積量が過剰であると判定された人のなかで、3項目 のどれかひとつしか当てはまらない人は予備軍とみなされます。
表1. 日本の8学会合同・メタボリックシンドローム診断基準
内臓脂肪(腹腔内脂肪)蓄積
- ウェスト周囲径
男性 ≥ 85cm
女性 ≥ 90cm
(内臓脂肪面積 男女とも ≥ 100cm2に 相当)
上記に加え以下のうち2項目以上
- 高トリグリセライド血症 ≥150mg/dl
かつ/または
低HDLコレステロール血症 <40mg/dl
(男 女とも) - 収縮期血圧 ≥130mmHg
かつ/または
拡張期血圧 ≥85mmHg - 空腹時血糖 ≥110mg/d
3.生活習慣の改善
なぜ、「メタボリックシンドローム」がこれほど重要視されるようになったのでしょうか?肥満の中でも特にお腹の中に脂肪がたまるタイプの肥満の人 は臓器障害を起こしやすいことがわかってきました。先ほど挙げました三つの項目の内容をみてみますとそれぞれ、脂肪代謝が少し悪い、血圧が少し高い、血糖 が少し高いと言うだけです。しかし、ひとりの人にこれらの条件が積み重なって3項目以上を満たすと、危険因子を持たない人に比べて心筋梗塞を起こす危険が 30倍以上になることがわかってきました(図1参照)。そこで、このような人を早期に発見して、食事および運動指導などにより生活習慣を改善させ、疾患の 発症を予防することが今後の重要な課題であると考えるようになったわけです。
図1




