腰椎椎間板ヘルニアの最小侵襲手術
36-2 整形外科
1腰椎椎間板ヘルニアとは?
腰の骨と骨との間には「椎間板」という、軟骨でできたクッションがあります。これがパンクして、中身が飛び出し、坐骨神経を圧迫した結果、足に放 散する激痛が生じる病気が、「腰椎椎間板ヘルニア」です。症状としては、臀部から下肢にかけて放散する激痛を認め、膝を伸ばすと、痛みが増強します。また 同部位にしびれ感を認めることもあります。
治療は、まず外来通院しながら、消炎鎮痛剤投与や、注射治療を行います。しかし症状が軽快せず、生活に支障をきたす場合には手術加療が必要となっ てきます。
手術加療は、従来は、背中に約5cmの皮膚切開を入れ、背筋をメスで切って、腰椎に到達し、椎間板ヘルニアを摘出しました。しかし近年、患者様の 最小侵襲手術へのニーズが高まっていることを受けて、当院整形外科では、体への負担が小さく、社会復帰が早い、最小侵襲での手術加療(最小切開での顕微鏡 下ヘルニア摘出手術、内視鏡下経皮的レーザー椎間板減圧術)を行っています。そこで、以下にその詳細を順に説明します。
2最小切開での顕微鏡下椎間板ヘルニア摘出術
この術式は、人差し指の先ほど皮膚切開、すなわち16mm程度の傷で、高性能の手術顕微鏡を用いヘルニアを摘出する術式です。具体的には、まず 16mmの皮膚切開後、内視鏡手術で用いる器具を用い、背筋を切開するのではなく、背筋を押し広げながら腰椎に到達します。そして直径16mmの円筒型開 創器を設置し、その空間を通して、高性能の手術顕微鏡を使用し、椎間板ヘルニアを摘出します。その後、傷を2~3針程度縫って手術を終了します。手術時間 は約50分程度で、出血はほとんどありません。術後2日目から歩行可能で、約1週間で退院となります。最近、広まりを見せている内視鏡によるヘルニア摘出 術と比較しても、同じ器具を使用して背筋を広げていくことから、体や背筋に対する侵襲は全く同等です。この術式は当科が本邦でいち早く導入し、優れた成績 を様々な学会、論文にて報告しています。

※実際の 傷の大きさです。背中に16mmの傷がつくだけです。
3内視鏡下経皮的レーザー椎間板減圧術
この術式は、局所麻酔下に、椎間板ヘルニアが生じている椎間板内に、内視鏡を見ながら特殊なレーザーを照射します。これにより椎間板内の圧力が下 がり、間接的にヘルニアの突出が減少し、症状が軽減するというものです。手術時間は約1時間程度、出血は全くありません。当日のみ安静入院が必要ですが、 翌日には歩いて退院できます。本院は、本術式に対して厚生労働省の高度先進医療の認可を受けている日本でも数少ない施設の内の一つです。この方法は、一泊 二日で治療が行え、さらに皮膚切開もほとんど要さないことから、非常に低侵襲な術式と言えます。しかし反面、成績は前述の2)の方法と比較するとやや劣 り、椎間板ヘルニアのタイプの中でも、比較的サイズが小さいなど、限られたタイプにしか効果がありません。したがって、術前検査にて、本法の適応がどうか 厳密に調べる必要があります。
最後に、当院整形外科では、脊椎脊髄手術において、常に、体に優しい最小侵襲手術に心がけ、患者様の御満足の頂ける医療の提供を目指しています。 腰痛、坐骨神経痛を認める患者様は、一度、当科外来を受診して頂き、担当医にご相談ください。



