高齢医療
20-1 高齢医学科
1.高齢者の医療
金沢医科大学病院には、北陸地方で唯一の高齢者診療を専門とした高齢医学科が設置されています。高齢者は、多くの疾患を併せ持つ場合が多いこと、 個人差が大きいこと、加齢に伴う各機能の低下が見られること、社会環境の影響を受けやすいこと、精神面での支援を要することなど、多くの特徴がみられま す。高齢医学科はそのような高齢患者さま個々の特性に合わせた診療を目指しています。
1) 高齢者高血圧
高齢者の高血圧の管理は、若年者と比較すると治療目標の設定や合併症の管理、薬剤の選択などに違いがみられることから、当科では高齢者の高血圧診 療を特に得意な分野として、最善の診療にあたっています。
2) 物忘れ・認知症
認知症はしばしば物忘れにて発症するため、「物忘れ外来」にて早期の認知症と診断された場合には、早期から治療を開始するよう努めています。
3) 胃瘻と栄養管理
高齢医学科では、経口摂取が困難となり経管栄養が必要となった患者さまに対して、内視鏡的胃瘻増設術を行っています。それは胃カメラの技術により 開腹手術なしに胃瘻を設置する技術です。栄養状態の改善には栄養支援チーム(NST)とも協力して対応しています。
4) 骨粗鬆症
高齢者の寝たきりの原因のひとつとなる骨折は、骨粗鬆症の治療によって予防が可能です。骨粗鬆症は早期には無症状であるため、骨塩量測定などで早 期に診断し治療を開始することが大切です。
5) 高齢者救急疾患
高齢者の救急疾患としては、肺炎、脳卒中、心臓病が多く見られますが、高齢者に対する救急の対応にも当科は救命救急科とも協力して対応していま す。
2.高齢者のホームドクターとして
本学病院の高齢医学科は、高齢者診療の専門治療を行う一方で、高齢者のホームドクターとしての機能も担っています。高齢者の日々の健康の管理、慢 性疾患の治療のほか、疾患によっては必要に応じ他科と連携して総合的に診療にあたります。また、基本的なプライマリーケアに加えて、以下の分野で高い専門 性のある診療を行っています。
1) 高齢者生活習慣病
高血圧症、糖尿病、高脂血症などは高齢者にとっても問題となる脳卒中や心疾患の危険因子ですが、当科にはこれらの疾患に専門知識を有するスタッフ がいます。各疾患の専門的知識に加えて、個々の高齢者に合わせた治療方針で診療しています。
2) 老年症候群
老年症候群とは高齢者に多く見られる症状を総合した名称であり、意識障害、めまい、不眠、言語・視覚・聴覚障害、関節痛、骨粗鬆症、排尿障害、誤 嚥、便秘、脱水、低栄養、浮腫、呼吸困難、不整脈など多くの徴候が含まれます。老年症候群に対しては原因治療のみならず、症状への対応・介護・ケアなどを 含めた総合的な対応が重要となります。
3) 高齢者総合機能評価
高齢者の個々の治療方針を決定する場合に、身体状況、精神状態、生活環境などを正確に評価することが重要ですが、当科では高齢者総合機能評価を行 い、高齢者の治療方針の基礎としています。



