大動脈瘤の治療
32-1 循環器科(胸部心臓血管外科)|教授 秋田利明
開胸・開腹せずに大動脈の瘤を治す
1.「大動脈瘤」とは
大動脈瘤とは、主に動脈硬化が原因で、胸や腹の大動脈がコブ(瘤)のように膨らんだ状態です。放っておくとドンドン大きくなり、破裂して大出血 し、緊急手術が間に合わないときは死んでしまいます。
2.大動脈瘤の検査と診断
大動脈瘤は、胸や腹のCTを撮れば直ぐに分かります。
瘤だけでなく、心臓や、脳へ血液を送っている動脈(頚動脈)、腎臓、呼吸機能なども調べる必要があります。
3.ステントグラフトによる治療法
今までは、胸を開けて人工心肺を使ったり腹を開けたりして瘤を取りのぞき、人工血管に置き換える大手術しか方法がありませんでした。手術には6時 間ほどかかり、出血や術後の合併症もあります。
最近は、ステントグラフト(針金で出来た折り畳み式の筒に人工血管を被せたもの)を足の付け根(股の部分)の動脈から細い管(カテーテル)で挿入 して瘤をふさいでしまう方法があり、当院の心血管外科では、これを積極的に行っています。
ステント グラフト
山科 章、石丸新ら:心臓・血管病アトラス2001年
この方法では、胸や腹を開ける必要はなく、患者さんに対する侵襲も非常に少ない治療法です。手術時間も短く(3時間ほど)出血など合併症も少な く、術後10日ほどで退院できます。ただし、すべての大動脈瘤がこの方法で治せるというわけではなく、従来通りの手術が最適な場合もあります。
4.診療体制
松原教授を中心とする血管外科チームのエキスパートが行っています。この治療法は、どこの病院でも行われているわけではありません。ごく限られた 病院でしか行われていない新しい方法ですが、健康保険での支払い以外に余分な料金は要りません。
金沢医科大学病院の治療例:動脈瘤
ステント グラフト
ステン トグラフト留置後



