高周波で治す足の静脈瘤
32-3 循環器科(胸部心臓血管外科)|教授 秋田利明
1.下肢の静脈の流れとは…
静脈は体の中で使い古した血液を回収して心臓に送り返すパイプの役割をしています。下肢の静脈血は重力に逆らって心臓にむかいます。そのため、静 脈血は歩いたり走ったりして足の筋肉が収縮すると、ふくらはぎや太ももの筋肉のポンプ作用で、足→心臓へ血液を流します。また、一方通行の流れを支えるために静脈内には逆流防止弁(静脈弁)が無数にあります。
筋肉ポンプ(ふくらはぎの筋肉)の仕組み
心臓へ
(筋肉が 収縮する)
心臓へ
(筋肉が ゆるむ)
心臓へ
静脈弁
2.静脈瘤とは…

妊娠や立ち仕事などで、心臓へ向かって流れている下肢の静脈の流れが障害されると、静脈の中に血液が溜まり、静脈の中の圧力が高くなります。そう すると、静脈弁が壊れて血液が逆流する様になり、静脈は膨れて太くなり、曲がりくねった状態になります。これが静脈瘤です。放置しますと、色素沈着や皮膚潰瘍を発症することがあります。
3.治療方法

軽症の方は、弾性ストッキング着用や空気圧マッサージで、鬱血を改善する治療が有効です。中等度の方は、原因となる静脈の根元をしばったり、静脈瘤に薬を注射したりして潰します。重症の方は手術が必要です。
4.一般的な手術方法=ストリッピング術、静脈抜去術
脚の付け根の皮膚を切開して皮膚の下の静脈の本幹(=大伏在静脈)を出します。そして大伏在静脈の根元をしばって切ります。次にストリッパーと呼 ばれる手術器具を大伏在静脈の中に通して、大伏在静脈自体を引き抜きます。
5.高周波で静脈瘤を治す!=新しい治療法
膝の辺りから大伏在静脈内にカテーテルという細い管を入れて、高周波を発生させ、カテーテル先端を85°C前後に加温して静脈壁の変性を起こさ せ、静脈を閉塞させてしまう方法です。従来の手術方法と違って脚の付け根を切りません(身体への侵襲が少ない治療法です)。
(1) カテーテル挿入
(2) 静脈を焼灼
(3) 静脈を閉鎖
使用す るカテーテル(直径2.6mm)

治療中の写真(膝の辺りの静脈に針を刺す)
6.この手術が適している方は…
- カテーテルが通過可能な、屈曲蛇行のひどくない、太ももにある大伏在静脈瘤
- 静脈瘤の最大径が12mm以下。何故なら、12mm以上だと静脈内膜に電極が接触しないために静脈壁の変性を十分に起こせないからです。
7.治療対象外の方は…
- 静脈瘤の中の血液が固まってしまっている方
- ペースメーカーや除細動器を装着している方
(詳しくは、胸部心臓血管外科へご相談ください)



