こどもの心の健康相談
22-1 精神医学科(神経科精神科)
-未来のために-
1.軽度発達障害の鑑別と対応
知的な障害・遅れはないにもかかわらず、算数は得意なのに国語はまるでダメとか(逆も)体育は全くできないといった学業成績のむらが大きい子や、 友人とうまく付き合えない子がいます。前者は主に学力[学習能力]の特異的発達障害、後者は注意欠陥多動障害(ADHD)や高機能自閉症(アスペルガー障 害)の子どもたちが含まれます。両者が合併することも稀にあります。
また、こういう障害をもった子どもたちは劣等感が強くなり、ふさぎ込み・無気力、強い不安・情緒不安定がみられたり、突飛な行動に出たりして、学 校・友人関係がさらに悪くなるという悪循環が生まれることもあります。
学校の先生もこれらの障害を正確に把握することは難しく、まして親御さんたちはむやみに子どもを叱ったり、しつけが悪かったのだろうかと責めた り、学校と対立したりと混乱します。
何が根源的な問題で、そこからどういう発展があったのか、子どものどこが原因となる障害で、どういう特徴があるのか、できるだけ総合的・科学的に 検査する必要があります。3者は本来、対応も治療も異なるものなのです。正しく診断し、この子にはどういう対応が望ましいのかを学校(保育所・幼稚園)と 協力して一緒に取り組んでいくことが大切です。
2.学力[学習能力]の特異的発達障害
これには以下のものが含まれます。正しく診断して二次的な心理的悪影響を防ぐことが大切になります。
- 会話および言語の特異的発達障害
- 特異的読字/書字障害
- 特異的算数能力障害
- 運動能力の特異的発達障害
3.注意欠陥多動障害(ADHD)
多動(落ち着きがない、動き回る、じっとしていられない、静かにしていられない)、不注意(気が散りやすい、うっかりミスが多い、ボーとしてい る、中途半端が多い)、衝動性(向こう見ず、他人に干渉する、ルールを守ることができない)といった特徴がありますが、どの要素が強いかはその子によって 違います。
お薬が非常によく効くタイプがあり、コンピューターを使った検査でも分ります。なにより、家族が特徴を理解して暖かくかつきっぱり一貫性をもって 接していくことが大事ですし、協力をお願いすれば学校側も惜しみなくサポートしてくれます。そうやってしっかり絆を深めておけば、子どもも高学年の頃には 自分の特徴に気がつき、どうやって社会適応力を身につけ、能力を高めるか有意義な相談が持てることになります。
4.アスペルガー障害
自閉症に含まれます(興味や関心が狭く決まっていて、他者への関心も相互性に乏しい)が、言語機能や一般的認知機能には遅れや障害がみられないタ イプです。ですから、親御さんもどこかおかしいと感じていても、一般的な健康診断や知能検査ではみつけにくく、よほど慣れた専門家でないと診断が難しいで しょう。
この子たちは対人関係の結び方が苦手なため、学校でひどいいじめにあったり、孤立します。また、1つの事にとらわれ離れられなくなり異常な行動に 出ることもあります。思春期・青年期になって問題を呈することが多いのですが、それでは遅いので、できるだけ早くに発見し援助していくことが必要です。
5.その他の行動および情緒の障害、強迫性障害
ちょっとややこしくなりますが、こうした注意欠陥多動障害やアスペルガー障害、学力の障害はあくまでも生来性(もって生まれたもの)なのですが、 似たような状態が一過性に生じてくることもあります。
例えば、大きなストレスに曝された後や、強迫性障害(手洗いや確認、儀式など同じ行為を繰り返す)でもADHDや自閉症と似た症状になりますが、 この場合は、精神療法(心理療法・カウンセリング)では行動療法、認知行動療法が用いられ、薬も全く異なるのです。



